馬乳に含まれる細菌検出技術の強化に向けて

2018年9月5日

8月13日~16日、モンゴル生命科学大学の公衆衛生学研究室のカウンターパートを対象に3日間の講習会を開催するため堀内基広専門家が来訪しました。プロジェクト立ち上げ当初から活動されている同専門家の来蒙は今回で14回目になります。

これまで堀内基広専門家は、モンゴルの食品衛生分野の教員の教育能力と研究能力の両者を高める活動をしてきました。同分野は食中毒原因菌の検出から菌の人体への影響や菌の増殖、その対策などが研究される重要な分野です。モンゴル国内では乳肉製品が多く生産・消費されるため、カウンターパートのNyam-osor上級講師をリーダーとした馬乳酒教育研究グループは、馬乳衛生とその研究成果・経験に基づく教育活動を通して、モンゴル畜産物の安全性確保を進めています。今回は、堀内教授の指導の下、JICA供与機材である自動搾乳機を使って搾乳した馬乳からサンプルを作成し、定量PCRによる食中毒起因菌検出に向けての技術指導を行いました。定量PCR法とは、遺伝子を定量することで食中毒起因菌検出に繋げる技術であるため、今回の馬乳媒介感染症の検出には欠かせないものでもあります。

また、これからの課題として、先端技術と知識の継続的な更新が不可欠であり、それにより自律的かつ持続的な教育改革が進められるようになると堀内教授は強調されました。新技術導入にあたり研究者の育成が急務とされていますが、本プロジェクトを通して現在北海道大学で公衆衛生に関する研修を受けているモンゴル人研修生が習得した最新の技術と知識を当地でも活用し普及していくことが期待されています。

【画像】

定量PCR装置の正常動作を確認する堀内基広専門家(写真左)とサンプルを作成するモンゴル人大学院生

【画像】

定量PCR装置の正常動作の確認

【画像】

馬乳に含まれる細菌検出方法について説明をする堀内専門家(写真左)

【画像】

搾乳した馬乳からのサンプル作成

【画像】

JICAが供与した微量高速遠冷却心機を使用する様子