伊丹貴晴専門家による麻酔学の技術移転

2018年10月13日

10月8日~13日、伊丹貴晴専門家がモンゴルにて獣医麻酔学の活動を行いました。

同専門家はモンゴル生命科学大学獣医学部の教員及び学生並びにウランバートル市獣医局の獣医師約30名を対象に大動物(馬)及び小動物(犬)の麻酔の講義及び実習を行いました。今回の目的はこれまでの技術移転によるカウンターパートの能力強化の確認であり、大動物と小動物を用いてデモンストレーションを行った後、カウンターパート自身による麻酔管理の実習を行いました。

実習馬4頭のうち1頭は実際に外科手術を実施し、最終的にはカウンターパートだけで全身麻酔管理を出来るようになりました。当国では、大動物の手術台がないため野外における全身麻酔時は低酸素血症の問題が起こり20~30分程度の短時間麻酔管理しか行うことが出来ませんでしたが、今回の実習を通して、JICAが供与した酸素ボンベ、デマンドバルブ、馬用気管内チューブの使用により90分の外科手術用麻酔管理を安全に行うことが出来ることを証明しました。

犬の実習では、前回の活動時に問題点とされた麻酔中の麻酔薬の濃度調整、機材使用及び医療記録の蓄積に関し大きな改善が見られたことから、回顧的に臨床研究が可能な体制が出来上がっていることを確認出来ました。

今後の活動では輸液療法・局所麻酔法・心肺蘇生法といった麻酔学の各論部分に関してまだ改善の余地があります。また、より安全に全身麻酔管理を行うためには循環器系のモニタリングも必要になってきます。今後、さらに実習を重ねカウンターパート達が自ら技術向上していくことが期待されます。

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伊丹専門家(中央で指導している)による酸素供給法の全身麻酔の実習

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外科手術の実施前の全身麻酔をかけられた馬

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社会人獣医師を対象に日本での実例を挙げて全身麻酔の講義を実施する伊丹専門家(左)