「学びたい」を実現するために

2017年6月30日

本プロジェクトで実施しているミニ・プロジェクト活動の第1回目が2017年5月末に終了しました。第1回目に採択した3つの団体のプロジェクトのうち、オルホン県生涯学習センターの「私たちは学べる」プロジェクトについて紹介します。
「私たちは学べる」プロジェクトは、これまで学校に通っていないもしくは学校に通っていたが通えなくなった障害のある子どもたちに、ノンフォーマル教育プログラムを提供するプロジェクトです。
モンゴルでは、ノンフォーマル教育の制度があり、公立の生涯学習センターが全国に設置されています。学校を一度ドロップアウトした子どもや成人でも、生涯学習センターに通うことで、希望すれば初等(5年生)、前期中等(9年生)、後期中等教育(12年生)を修了することができます。
オルホン県生涯学習センターでは、以前より障害のある子どもを受け入れていましたが、同団体が提案したミニ・プロジェクトが採択されたことを受け、運営規模を拡大することができました。より多くの障害のある子どもを受け入れるため、周辺地域の調査を実施して、センターの利用を勧奨しました。また、訪問教育を開始し、センターに通うことが難しい子どもについては、教員が定期的に訪問して勉強を教える体制を整えました。
セレンゲさんは23歳。脳性まひのため、車椅子を利用しています。受け入れてくれる学校がなく、7歳からNGOや障害児の保護者の会が開設している発達センターに通っていました。ミニ・プロジェクト開始後、生涯学習センターに移って学習を続け、見事、前期中等教育修了の試験に合格しました。2017年9月からは専門学校に進学してコンピューターについて学ぶ予定です。NGOや保護者の会が運営する発達センターでも学習は可能ですが、教育省が認めた教育機関ではないため、修了資格は得ることができません。生涯学習センターに通うことにより、公的な資格を取得し、上位の学校に進学することができました。
セレンゲさん以外にも、3名が前期中等教育、1名が後期中等教育の修了資格を得ることが出来ました。セレンゲさんの次の目標は就労です。「私たちはみんなと同じように学ぶことができる。みんなと同じように生活することができる。私たちが積極的に外に出ることで、そのことを少しでも社会に知ってもらいたい。」と語ってくれたセレンゲさんの表情は希望に満ち溢れていました。

【画像】セレンゲさんは母親のために「詩で作るミルクティー」という詩集をつくり、出版社の協力を得て本にした。本来であれば家事の手伝いをしている年頃なのに、障害のために世話をかけているので、せめて詩を書いて日ごろの感謝を表したいという気持ちから書いたそうだ。写真は詩集の表紙。

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社会科見学で博物館に行き、県の歴史などについて学んだ。前列中央の車椅子の女性がセレンゲさん。

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センターでの学習の様子