プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)国税庁改正税法執行能力強化支援プロジェクト
(英)Project for the New Tax Law Enforcement by Strengthening Capacity of Implementation of Mongolian Tax Administration

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2020年7月30日

プロジェクトサイト

モンゴル全土

協力期間

2020年10月1日から2023年9月30日

相手国機関名

(和)国税本庁
(英)General Department of Taxation

背景

モンゴル経済は資源ブームにより経済が活況を呈し、2012年には国際金融市場で米ドル建て債を発行するなど、好調な経済成長を背景に国内の開発を進めていた。しかし、その後の資源価格の低迷により経済は苦境に陥り、IMFに対して支援要請をすることになった。IMFは支援要請を受けるに当たり、モンゴル国政府に「経済金融政策のメモランダム」(Memorandum of Economic and Financial Policies:MEFP)を作成させた。これを踏まえ、IMF理事会は2017年5月に314.5百万SDR(4.3億米ドル相当)の拡大信用供与措置(External Fund Facility:EFF)プログラムを承認した。IMFは、世界銀行、アジア開発銀行、日本、中国、韓国の主要ドナーとの協調で総額55億米ドルの支援パッケージをとりまとめた。この支援パッケージが実施されたことにより、モンゴル国は経済危機を脱出し、国際的信用を回復しつつある。モンゴル国では、当該支援を受ける条件として、歳出削減や税制見直しによる歳入確保など、財政緊縮策を進めることとなった。結果、従来累積していた大幅な財政収支赤字が2018年度に黒字に転換した。2019年上半期における政府歳入は4兆9,004億トゥグルグ(MNT、16.6億米ドル相当)、同歳出は4兆7,083億MNT(15.9億米ドル相当)となり、1,921億MNT(0.7億米ドル相当)の黒字となっている。
JICAは「国税庁徴税機能強化及び国際課税取組支援プロジェクトフェーズ2」(2017~2020年)を実施し、財政安定化の観点から特に国際課税及び徴収分野における制度、基盤づくりを支援した。支援を通じ、同国における第二次税制改革と言われる一連の税法改正(対象は一般税法、法人所得税法、個人所得税法)案を策定、2019年3月臨時国会で可決され、2020年1月から施行を開始した。これら改正税法は日本の経験をもとにモンゴルの現状に適合する形で策定され、資産調査、差押、資産評価、内覧会の実施、公売対象資産の保管、公売手続き、換価財産の配当業務等の徴収事務は、モンゴルで初めて導入されるもしくは裁判所が担当してきた業務であり、国税庁にとっては初の取り組みである。首都圏のみならず、地方部においても同様の徴収事務が求められることから、適切な知識・実務能力の習得が早急に必要な状況である。また、同改正税法を通じ国際課税制度についてもOECDルールに基づき整備するとともに、国際課税分野のコア職員の育成を進めてきた。海外取引調査などの件数も増加しているものの、移転価格調査の実績は圧倒的に少なく、十分な課税能力を有していない。係る環境の変化に適切に対応し、納税者に対する積極的な情報発信や丁寧な対応を通じ、改正税法、ひいては税務行政に対する信頼を維持することが求められている。

目標

上位目標

歳入基盤強化のための適正かつ公正な税務行政が促進される。

プロジェクト目標

改正税法に則った税務行政が適正に運営される。

成果

1.徴収事務の実務能力が強化される。
2.国際課税の税務調査が効果的に実施される。
3.適切な納税者サービスが展開される。

活動

1-1.既存の徴収関連マニュアル及び様式をレビューし実務的な視点から改善を行う。
1-2.1-1及び既存の研修実施要領をレビューし、徴収の人事研修計画として職位毎
にまとめる。
1-3.1-1及び1-2に則り必要な研修教材を作成し、適切な研修(オンライン研修、
地域研修所における地域研修等)を実施する。
1-4.処理困難事案対応のための専門チーム設立・運営を支援し知見を集積する。

2-1.既存の通達等をレビューし、改正税法で導入された国際課税の執行に関する事務
運営指針等を整備する。
2-2.既存の研修カリキュラムや教材等をレビューし、より実践的な内容のものに改訂
する。
2-3.2-2を活用して適切な研修(TOTを含む)を実施する
2-4.モンゴルの国際課税の調査事案を共有する。
2-5.業種別に効果的な国際課税調査の手法を開発し、知見を共有する。

3-1.納税者サービス促進のための中期計画をドラフトする。
3-2.年度ごとのアクションプランについて、徴収及び国際課税分野に係る改正法の理
解促進を目的に内容をレビューしドラフトする。
3-3.3-1及び3-2に則り各活動に対する具体的なターゲット及び媒体等を検討し、
それらに合致した適切なサービス内容やツールをまとめる。
3-4.3-3に則り必要なツールを準備し、関係省庁及び関連団体との連携のもと実施
する(i.e.業種毎の説明会等)。

投入

日本側投入

専門家、現地研修(オンライン、対面型)、本邦研修、オンライン研修機材

相手国側投入

プロジェクトディレクター、プロジェクトマネージャー、ワーキンググループ(成果
毎)、プロジェクト事務所等