プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)障害者就労支援制度構築プロジェクト
(英)Project for Promoting Employment of Persons with Disabilities(DPUB2)
(蒙)Хөгжлийн бэрхшээлтэй иргэдийн хөдөлмөр эрхлэлтийг дэмжих тогтолцоог бэхжүүлэх төсөл

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2020年8月26日

協力期間

2021年2月3日から2025年1月31日

相手国機関名

(和)労働・社会保障省
(英)MINISTRY OF LABOR AND SOCIAL PROTECTION

背景

モンゴルでは、2009年の障害者権利条約批准後、障害者の権利保障と社会参加のための施策が強化されている。2016年には障害者の権利を定めた「障害者権利法」が公布され、同法の施行状況を監督するため、中央に「障害者国家委員会」、全省に「障害者副委員会」、全県およびウランバートル市には「障害者支部委員会」が設置された。また2018年には障害分野の関係機関の円滑な連絡調整のため「障害者開発庁」も設立された。

障害者就労についてみると、モンゴル政府の中長期的な開発政策である「持続可能な開発ビジョン2030」において、「すべての人に公平で適切な雇用を提供しあらゆる貧困をなくす」との指針が示され、障害者の就労の促進が同ビジョンの目標に含まれた。さらに、「人口開発政策(2016年政令第261号)」では、障害者の労働能力に適した職場づくりの奨励や就労支援が重点項目として位置づけられ、「障害者の権利・社会参加・発達支援国家プログラム(2018-2022年)」においても「障害者の就労促進」が第三の目標として掲げられた。このように法制度整備が進むなか、労働社会保障省は障害者の一般就労促進のため、2017年から障害者開発庁や労働社会福祉サービス庁と連携して「障害者就労促進プログラム」を実施している。

国際協力機構(JICA)は、労働社会保障省と連携し「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト(DPUB)」を2016年から2020年まで実施した。DPUBでは、障害の社会モデルを教える障害平等研修や物理・情報アクセシビリティの改善、障害者白書の作成など様々な活動を実施した。

かかる現状に鑑み、JICAとモンゴル政府との間で障害者の就労支援事業の立案、人材育成、ネットワーク、事業実施の仕組み形成により、障害者の就労支援事業が発展し、障害者の生計及び社会参加改善に寄与することを目的とした「モンゴル国障害者就労支援制度構築プロジェクト(DPUB2)」の実施が合意され、2021年2月に開始、同年12月に第1期が終了した。

第1期の主な活動はベースライン調査と詳細計画策定調査の実施であり、両調査を通じ、障害者の就労促進における課題が明らかになり、その対策とプロジェクト活動や範囲・方針が明確に定められた。そこで2022年2月から2023年12月にかけ、本プロジェクトの第2期が実施されることりなり、2024年1月から2025年1月まで第3期が開始される予定である。

目標

上位目標

障害者のためのジョブコーチ就労支援サービスの実施を通じて、障害者の生計および社会参加が改善される。

プロジェクト目標

障害者のためのジョブコーチ就労支援サービスが形成・実施される。

成果

1.ジョブコーチ就労支援サービスの事業計画が立案される。
2.ジョブコーチ就労支援サービスの実施に必要な資源(人材の育成、研修方法の確立、教材/資料の作成、研修実施機関、ネットワーク)が特定、形成される。
3.ジョブコーチ就労支援サービスが実施されるための仕組みが形成される。
4.企業及び求職障害者に対するジョブコーチ就労支援サービスの利用に向けた広報・啓発がなされる。

活動

成果1に関する活動

1-1.就労支援の概念について、短期専門家及び国別研修などを通じてモンゴル側と共有する。
1-2.調査計画に関し関係機関より得たコメントを分析する。
1-3.調査を実施する(コロナ禍の影響の有無も確認する)。
1-4.ADBが実施中の障害者就労に関する案件の情報収集を行い、本案件との分担及び連携について提案する。
1-5.調査結果を分析する。
1-6.調査結果をレポートにまとめる。
1-7.レポートをもとに事業計画案を策定する。
1-8.レポート及び事業計画を関係機関に共有する。

成果2に関する活動

2-1.ジョブコーチ入門セミナーを実施する。
2-2.ジョブコーチ・トレーナーを育成する。
2-3.ジョブコーチ養成研修の教材を作成し、研修プログラムを確定する。
2-4.ジョブコーチを育成する。
2-5.ジョブコーチ・トレーナーの養成の仕組みを定める。

成果3に関する活動

3-1.ジョブコーチ就労支援サービス実施のために、毎年必要な予算確保や制度構築について協議する。
3-2.パイロットプロジェクトでジョブコーチ就労支援サービスの内容、方法、対象、ジョブ・コーチのTORなどを試行・検討する。
3-3.パイロットプロジェクトでジョブコーチ就労支援サービスを提供する委託先機関に対する助成金提供の方法や制度を試行・検討する。
3-4.パイロットプロジェクトを通してジョブコーチ就労支援サービス及び助成金制度をモニタリングし、ジョブコーチ就労支援サービスの事業モデルを構築する。
3-5.構築・実施されたジョブコーチ就労支援サービスの評価・修正を行う。

成果4に関する活動

4-1.モンゴル社会において障害者の就労を促進するための広報戦略を策定する。
4-2.企業啓発セミナーを実施する。
4-3.企業啓発人材を育成する。
4-4.企業啓発研修の教材を作成し、研修プログラムを確定する。
4-5.障害者雇用の優良事例を発信する。
4-6.障害者雇用・納付金セミナーを開催する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
・労働政策
・障害者就労支援
・援助付き雇用/職場適応援助者(ジョブコーチ)
・民間連携/職業紹介
・評価分析、プロジェクトモニタリング
・広報啓発
・障害と開発
2.本邦研修・第三国研修
3.プロジェクト実施に係る費用

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
・プロジェクトダイレクター
・プロジェクトマネージャー
・プロジェクト運営管理
・調査、研修、広報・啓発のカウンターパート
2.プロジェクト事務所
3.活動に参加する職員の人件費