プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)母子栄養サービス強化プロジェクト
(英)The Project for Strengthening Maternal and Child Nutrition Services(ProNUT)
(葡)O Projecto para o Fortalecimento dos Serviços de Nutrição Materna e Infantil(ProNUT)

対象国名

モザンビーク

署名日(実施合意)

2020年1月29日

プロジェクトサイト

ガザ州、ニアッサ州

協力期間

2021年5月13日から2025年5月12日(4年間)

相手国機関名

(和)保健省
(英)Ministry of Health

背景

モザンビークでは、母子保健、栄養状況は改善傾向にあるものの、妊産婦死亡率は出生10万人あたり289人、新生児死亡率は出生1,000人あたり28.5人、5歳未満児死亡率は出生1,000人あたり74.2人と高い数値を示しています(ユニセフ、2019年)。この背景の一つとしてモザンビークでは、慢性的栄養不良の拡がりがあると考えられています。WHOによると、5歳未満の子供の死亡の約45%の根本原因が栄養不良に関係する(WHO、2021年)と考えられていますが、過去20年間、モザンビークの慢性栄養不良率は約40%で推移しており、改善の兆しは見られていません。
モザンビーク政府は、国家中期開発計画(5ヶ年計画、2015年~2019年)と保健開発計画(2014年~2019年)において、母子保健と栄養状態の改善を優先課題の1つとしており、妊産婦ケアの拡大および質の向上により罹患・死亡率を減らし、栄養状態を改善することで子どもの罹患・死亡率を減らすことを目標に掲げています。
このような背景から、モザンビーク保健省の要請に応えて、国際協力機構(JICA)は2019年にモザンビークにプロジェクト策定ミッションを派遣し、政府を支援するための3年間の技術協力プロジェクトの開始について相互合意しました。
本プロジェクトでは、モザンビークに既存の妊婦の健康手帳および子どもの健康カードを母子健康手帳として統合し、これを活用しながら、国の政策や戦略に沿った母子栄養サービスを強化するためのモデルを開発することを目的としています。さらにプロジェクトでは、保健医療施設およびコミュニティでモデルを運用するために、保健医療従事者とコミュニティヘルスワーカー(モザンビークではAPEと呼ばれる)の能力強化および連携体制の強化を図ります。
このプロジェクトは、ガザ州とニアッサ州の2つの州を対象としています。ガザ州では、保健セクターのみ、ニアッサ州では、JICAプロジェクトによる保健、農業、水・衛生のマルチセクトラルアプローチが実施されます。
プロジェクトは、2つの州でモデルを試験的に導入することにより、地理的および社会経済的特性が異なる地域にモデルを適合させることを目指しています。

(以下のプロジェクト概要の説明は、二国間合意時点に基づいており、実施の過程で変更される可能性があります。)

目標

上位目標

1.対象州において母子の低栄養の割合が低下する。
2.母子健康手帳に基づく栄養サービスモデルが全国展開する。

プロジェクト目標

母子健康手帳に基づく栄養サービスモデルが開発される。

成果

1.対象州において、サービスモデルが全国展開に向けて運用可能な状態になる。
2.保健医療従事者の母子健康手帳を用いた施設ベースの栄養サービス提供能力が十分強化される。
3.APEの母子健康手帳を用いたコミュニティ・ベースの栄養サービス提供能力が十分強化される。

活動

成果1に関する活動

1-1.母子健康手帳のデザインとサービスモデルのためのテクニカル・ワーキング・グループを実施する
1-2.サービスモデルを策定する
1-3.サービスモデルのためのオペレーション・ガイドを策定する
1-4.母子健康手帳とオペレーション・ガイドを保健医療施設向けに印刷・配布する
1-5.母子健康手帳の安定供給のため、保健施設への母子健康手帳のロジスティクスをモニタリング、スーパービジョンする
1-6.サービスモデルの全国普及戦略を起案する

成果2に関する活動

2-1.サービスモデルに関する保健医療従事者向けの研修教材を作成する
2-2.保健医療従事者に対してサービスモデルに関する研修を実施する
2-3.保健医療施設でサービスモデルを実践するために必要な機材やツールを確保する
2-4.保健医療従事者の業務に対して、モニタリングやサポーティブ・スーパービジョンを実施する

成果3に関する活動

3-1.サービスモデルに関するAPE向けの研修教材を作成する
3-2.APEに対してサービスモデルに関する研修を実施する
3-3.APEがサービスモデルを実践するために必要な機材やツールを確保する
3-4.APEのコミュニティ・ベースのマルチセクトラルな栄養活動を支援する
3-5.APEの業務に対して、モニタリングやサポーティブ・スーパービジョンを実施する

投入

日本側投入

1.長期専門家:チーフアドバイザー、コミュニティ栄養/母子保健、業務調整
2.短期専門家
3.日本または第三国でのカウンターパートトレーニング
4.プロジェクトの活動を実施するために必要な設備
5.プロジェクトの活動(印刷物、トレーニング、ワークショップの実施など)を実施するために必要な運営費

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.マプト、ニアッサ州(リシンガ市)、ガザ州(シャイシャイ市)に、プロジェクトオフィススペースを設営
3.プロジェクトオフィスの光熱費
4.カウンターパートの人件費および旅費