新生児ケアとマネージメントの研修を実施しました。

2015年7月15日

ミャンマーでは、農村地域において生後1年以内に亡くなる子どもがいまだ多くおり、そのうち特に生後1ヵ月以内の子どもが死亡(新生児死亡)の割合が高いことが問題となっています。最近になって、新生児死亡にかかる課題は保健省だけでなく国家全体の優先的な課題であるという認識が強まり、様々な施策が展開されています。対象サイトであるカヤー州においても新生児死亡は優先的な課題として扱われています。

本プロジェクトの主眼のひとつは研修に関わる活動を通じた「州内における研修実施能力の強化」にあります。そこで、2015年7月に、州内の全15病院でスタッフの指導管理にあたる医師や看護師ら30名を集め、新生児ケアとマネージメントに関する3日間の研修を行いました。

新生児蘇生法のセッションでは小グループに分かれ、新生児模型を用いて蘇生の手順と手技を確認しました。はじめは慣れない手つきで器材を扱っていた受講生たちでしたが、研修を通して手技を習得し、研修終了後には「所属先に戻ったら、学んだことを同僚たちに伝えたい」というコメントを残すまでになりました。また、3日目のマネージメント研修では、参加体験型学習を通して、効果的なコミュニケーションやチームワークについて学びました。

研修プログラムの中には「病院という環境の中で新生児ケアを提供する際の困難な点」をテーマにした、グループ・ディスカッションを行いました。ディスカッションの内容を共有した際に「機材の不足、医療従事者の不足、(住民の)受診の遅れ」などが各グループから挙がる中、「外国からの支援がミャンマーに入る前の時代、我々の先輩たちは、そこにあるものでひとりでも多くの命を救うために最善を尽くしてきた。我々も、『これがない、あれがない』と嘆くだけでなく、今ある資源を最大限活用し、診療にあたっていこう」との力強いコメントをする受講生もおり、参加者に強い印象を与えていました。

今回の研修は本プロジェクトにとって初めての研修活動でしたが、カウンターパートの強力なリーダーシップのもと、成功裏に終えることができました。プロジェクトでは、引き続き研修活動の実施を通してカヤー州における医療従事者のスキルの向上とともに、州内における研修実施能力の強化を目指していきます。

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小グループに分かれ新生児蘇生法を学ぶ

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新生児蘇生法を指導する州総合病院小児科専門医(写真左)

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コミュニケーションに関するマネージメント研修の一コマ

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チームワークに関するマネージメント研修の一コマ