医学教育強化プロジェクトのクロージングセレモニーと第4回JCCの開催

2019年8月16日

4年半のプロジェクト期間を2019年9月で終了する本プロジェクトは、8月6日午前にプロジェクトのクロージングセレモニー、午後に今回が最後となる第4回合同調整委員会(Joint Coordinating Committee:JCC)を Pan Pacific Yangonにて開催しました。

クロージングセレモニーでは、日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長ご臨席のもと、日本での研修を終了した67名の内、53名が出席し、日本側から、丸山市朗日本国特命全権大使、六大学医学系委員会(Med-SUN)を代表し金澤右岡山大学病院長、そしてJICAミャンマー唐澤雅幸所長、ミャンマー側からProf. Dr. Thet Khaing Win 保健・スポーツ省事務次官からご挨拶をいただきました。挨拶では、プロジェクトの成果を称えるとともに関係者への感謝の言葉、そして日本に研修に行ったミャンマーの医師と放射線技師たちへの期待の言葉が述べられていました。

帰国研修員からは、基礎医学系(長期研修)と臨床医学系(短期研修)から1名ずつ帰国後の医学教育強化に向けたそれぞれの活動が報告されました。基礎医学系(生理学)のDr.Hein Min Lattからは、岡山大学での経験と現在の院生・学部生への講義についての報告、臨床医学系(産婦人科)のDr.Cherry Khaingからは、自身が帰国後、病院内に開いた、ハイリスク妊産婦クリニックの活動について報告がなされ、帰国研修員の活躍ぶりを垣間見ることが出来ました。その後、JICAの帰国研修員同窓会からの活動紹介がなされてセレモニーは終了しました。この模様は、同日のミャンマー国営テレビ(mitv)のニュース番組でも大きく取り上げられました。

午後は、JCCが開催され、プロジェクト期間における活動報告、成果とプロジェクト目標の達成状況、将来的な上位目標の達成予測についてミャンマー側実施機関と日本側プロジェクトチームから報告を行い、これらを取りまとめたプロジェクト完了報告書案の内容を確認しました。

プロジェクトの具体的な成果としては、日本での4年間の長期研修により、12名の医師が基礎医学Ph.D.を取得しました。12名は、ミャンマー帰国後も研究を継続しながら基礎研究についての学部生、院生の教育にあたっております。12名はこれからのミャンマーの基礎医学研究の若きリーダーとなることが期待されています。また、毎年、6分野(臨床病理科、産婦人科、麻酔科、放射線科、救急科、消化器内科(内視鏡診断))、11週間に渡る短期研修では、合計55名が日本での研修を修了しました。55名は、帰国後も日本の先生方の支援を受けて、合計35回、延べ参加者数約1900名となる普及セミナーを各地で開催し、日本で得た知識と技術の普及に努めました。彼らは、それぞれの現場でも実際に学部生、院生、研修医などの指導に当たりますので、ミャンマー全体の医療技術の向上が期待されています。

なお、長期、短期研修ともに、ミャンマーの国立4医科大学(University of Medicine(UM)1、UM2、UM Mandalay、UM Magway)から研修員を派遣し、日本の国立6大学(千葉、新潟、金沢、岡山、長崎、熊本)の医学部、六大学医学系委員会(Med-SUN)が研修を実施しました。さらに、Med-SUNからは、短期研修員がミャンマーに帰国後、開催している各分野の普及セミナーにも医師を派遣し、助言や、新しい知識や技術の紹介をしています。このことにより、直接のプロジェクトの目的ではありませんでしたが、4年半に渡るプロジェクトによって、6大学医学部とミャンマーの医大、教育病院との間に太い人と人とのつながりが出来ました。実際、プロジェクト終了後も独自に研修を実施する大学や、ミャンマーへの学会での講演など独自に協力を継続する大学も出ています。

会議は、完了報告書の一部修正とプロジェクトの成功と終了を確認して終了しました。

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祝辞を述べられるProf. Dr. Thet Khaing Win 保健・スポーツ省事務次官

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祝辞を述べる、JICAミャンマー唐澤雅幸所長

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帰国後の活動を報告するDr.Hein Min Latt(生理学)

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帰国後の活動を報告するDr.Cherry Khaing(産婦人科)

【画像】出席した53名の帰国研修員と関係者の集合写真

【画像】JCC出席者の集合写真、中央の女性がDr.Tin Tin Lay保健人材局長、その右隣りから4名が4医科大学の学長達