2017年3月のニュース1:早川茂短期専門家による「ファカルティ・ディベロプメント(FD)」分野の研修

2017年3月31日

本研修は、YAU教員の教育能力向上に向けた最初の研修となった。研修は、(1)プロジェクトC/Pならびに若手教員を対象に、教育能力向上ワークショップを行う、(2)日本の農学教育分野における近年のカリキュラム改革の現状を十分に理解したうえで、YAUの現状に即応したカリキュラム改革のロードマップ及びアクションプランを作成し、自律的カリキュラム改革を推進することができるようにする、(3)カリキュラム改革に伴うカリキュラムポリシー(カリキュラムマップ)の作成ならびにこれに伴うシラバス作成方法、学生による授業評価方法について教授する、(4)大学執行部に対してカリキュラム改革、教授法改善並びに適正な教員活動評価法について助言することを目的に実施された。

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研修開会式に参加した執行部と研修参加者(3月4日)

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YAU月曜セミナーで講演する早川短専(3月6日)

研修参加者は、7つの主要学科だけでなく、Animal Science、Agricultural Engineeringの2学科と物理学、数学、英語、ミャンマー語学科の基礎教育を担当する教員も含めて21名となった。また、FDやカリキュラム改革は大学運営や学科運営に関わる執行部の理解が必要なことから、研修期間中の土曜日を利用して学長・副学長・学科長も交えた特別研修を行った。
早川茂短期専門家(香川大学名誉教授、元副学長)の指導のもと、3月4日から3月14日までの日曜日を除く9日間、カリキュラムマップの作成、シラバスの精査、授業評価の討議、教員の活動評価についてワークショップが行われた。現状のカリキュラムでは、各学科及びSRP(Specialized Research Program専門プログラム)で提供される必修授業がほとんどで、カリキュラムマップに相当するものがないことが判明したので、将来を見据えて、教育者側の立場ではなく、学生の立場に立ったより効果的な教育をするためのカリキュラムマップを作成することをFD受講者に提案し、新しい教育内容に対応するカリキュラムマップを作成することにした。各グループが一致して、学生の授業選択の幅を広げる選択科目の増加が必要であるとの認識を示し、これに基づいたカリキュラムマップが提案され、全体討論が行われた。
カリキュラム改革に加えて、研修参加者それぞれに各自のシラバスを作成させ、シラバス作成が単に授業開始前に授業内容が分かるようにすることにとどまらず、当該授業科目を受講して何を身につけることができるか(到達目標)を明記して、学生の勉学に資するように記載すること、さらに学生の授業評価を踏まえて教員の授業に対するモチベーションを上げることにつながることなど、今後のYAU全体のシラバス作成の向上に向けた指導が行われた。
教員の活動評価について本邦国立大学法人で一般に行われている方式が説明され、早川短専の所属大学における教員の活動評価シートを具体例に、教育活動、研究活動、管理運営活動、社会貢献活動の4つの分野における教員活動評価の実施に関する講義と実習が行われ、各研修参加者の活動の自己点検評価を作成させた。また、本研修の結びとして、YAUにおけるミクロ、メソ、マクロレベルごとのFDアクションプランが各グループによって作成された。
本研修が大学執行部の教員にも特別研修として行われたことや、研修参加者が日ごろから改善・改良が必要と考えている授業やカリキュラムに関する身近な課題を扱ったことから、本研修の実施後には、YAU全体としてカリキュラム改革に着手する機運が高まりつつある。その意味でも、本研修はプロジェクト目標の達成に向けて大きな意義のある研修となった。