ヘルスプロモーション研修実施

2016年6月22日

「ヘルスプロモーション」と聞いた時に多くの医療従事者は、「今までも、いろいろやってきた!」と答えます。確かにそのとおりなのです。医療従事者は診察の待ち時間に講話をしたり、住民に必要と思えることに対して、啓発活動を行っています。しかし、家庭地域保健モデル(MOSAFC)のヘルスプロモーションは、医療従事者が一方的に保健情報を提供するのではなく、地域の健康に係わる問題を、住民と一緒に見極めるとともに、そこにある人的・物的資源をフル活用して、地域の力で住民が自身や家族の健康を維持増進させるための行動をとることを目指しています。

そこで、今までのヘルスプロモーションとこれから目指すヘルスプロモーションの違いを理解した上で、より効果的なヘルスプロモーションを実施していくために、2人の日本人専門家が講師を務め、8時間のヘルスプロモーション研修をカウンターパートと共に企画しました。対象者は、セラヤ・セントラルとチョンタレスの両保健管区の母子保健技術委員、各支所の研修ファシリテーター、保健管区職員で、ヘルスプロモーションの基礎知識を学び、演習やグループワークを通して計画立案まで実施する内容でした。6月15日にセラヤセントラル保健管区事務所にて実施した研修には14人が参加しました。チョンタレス保健管区は対象者が多いため、16日と22日の2回に分けて当保健管区事務所にて実施し、それぞれ13人と14人が参加しました。

研修の導入として、まずMOSAFCにおけるヘルスプロモーションについて内容を確認しました。次に、ヘルスプロモーションを計画するにあたり必要な情報収集について、既存の地域診断用紙を用いて、どのように情報を収集し活用していくのかを説明しました。続いて、IEC(Information Education Communication:情報・教育・コミュニケーション)とBCC(Behaviour Change Communication行動変容を促すコミュニケーション)の理論を通して、どのように働きかければヘルスプロモーションの最大の効果が狙えるのかを、行動を変えない人をタイプ別に分類し、研修参加者の体験を交えながら考えていきました。そして、様々な情報伝達と学習の手法について、それぞれの手法の目的、効果の違いについて講義しました。

研修の後半では、前半で学んだ知識を整理し、地域の情報や資源を今後の啓発活動に、どのように活用していけるのかを再確認し、知識の定着と普及を促すために、ヘルスプロモーションの実演とグループワークを実施しました。ヘルスプロモーションの実演では母子栄養を例に、使用する手法や教材によってどう効果が変わるのかを体験し、グループワークでは、実務で取り組んでいるテーマを例に、ヘルスプロモーションを行うために得ておくべき情報とその収集方法、対象者、実施者、実施場所、予算、実施方法に関して計画立案し発表しました。

参加者からは、研修での学びを日々の仕事で活かし、今後、評価・改善につなげていけるという意気込みが発言となって聴かれました。今後プロジェクトでは、各医療施設で作成・更新する保健情報ボードなどを観察し、研修の効果を確認・評価していきます。

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チョンタレス保健管区で指導する公衆衛生・ヘルスプロモーション専門家

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セラヤセントラル保健管区で講義する公衆衛生・母子栄養専門家

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セラヤ・セントラル保健管区でグループワーク風景

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妊娠中の危険兆候に関する保健情報ボード