デング熱・ジカ熱・チクングニア熱予防の啓発ステッカー作成

2016年6月24日

ニカラグア政府は、雨季が本格化する前に国内でデング熱患者が急増し、複数の死亡例が報告されたことから、5月に疫学的非常事態を宣言し、デング熱だけでなくジカ熱やチクングニア熱を媒介するネッタイシマカへの対策を強化しています。

チョンタレス保健管区では、即時的な対策である殺虫剤散布のほか、長期的な視点に立ち、将来の地域づくりを担う子どもたちに対して、住居の周囲で蚊の発生を防ぐための啓発活動を行うことを決めました。プロジェクトでヘルスプロモーションを指導する日本人短期専門家が、疫学課の担当医とともに小学生を対象とした啓発活動の展開計画の立案とそこで使用するステッカーをデザインしました。

プロジェクトのスローガンである、“Comunidad Sana、Familia Feliz(健康地域 幸せ家族)”から一部の単語を取り出して“Sin Zancudos Familia Sana(蚊なんかいないぞ 健康家族)”がこの活動の合言葉に決まりました。これをデザインの中心に据えた12種類のステッカー案を準備して、まず、プロジェクトメンバーと疫学医、保健管区労働組合長で第1次審査を行い、候補を6種類に絞りました。チョンタレス保健管区の技術審議会で行った第2次審査で決戦に臨む最終候補2種類が選ばれ、最終審査はフィガルパ市内の小学校で行いました。どちらのデザインが好きか児童たちに手を挙げてもらうシンプルな選抜方法では、両方の候補に手を挙げる子や、両手を上げて集計を惑わせる子、数え終わったグループから抜け出して、まだ数えていないグループで再び手を挙げる子など、とてもわかりやすい不正がいくつか確認されましたが、子どもたちにとっても保健管区が作成するステッカーを自分たちで選ぶというのは初めての経験で、最終審査はおおいに盛り上がりました。この結果、スローガンと共に、ネッタイシマカと闘う男の子と女の子の絵が描かれたものが採用されました。子どもたちに選ばれたステッカーは、現在、保健省で大臣の承認を得る、発行に向けた最終工程に入ったところです。

今後の啓発活動は、まず、保健管区の指導で、支所の医師や看護師、媒介虫対策技官などが管轄地域の小学校に出向き、教師と協力し合いながら、蚊が媒介する感染症とその予防方法について、保健省が作成した子ども向けビデオ教材を使った授業をします。この授業を受けた子どもたちは「蚊と闘う正義の味方」の称号とともに、その認定証であるステッカーを授与されます。これを受け取った子どもは家に帰って家族に学習したことを伝え、住居の周りで蚊が発生しないように可能な対策を講じます。ステッカーは、ノートや兄弟の背中などではなく、家の外からでも見えやすい場所に貼り、“この家には蚊対策のスペシャリストがいる”目印とします。家庭保健チームのメンバーや教師は家庭訪問の際に、ステッカーや蚊対策の状態を確認してゆきます。よくできていたらそれを学校や地域の中で具体的に紹介し、継続のモチベーションにつなげてゆくことも大切です。

ジカ熱について政府は、今年11月半ばからアメリカのSustainable Sciences Institute(継続可能な科学研究所SSI)による妊婦と出産後の子どもの調査を受け入れると発表しました。その詳細はまだ不明ですが、プロジェクトの協力対象地域でも調査活動が行われる可能性があります。これによって得られる情報をヘルスプロモーション活動に反映させてゆきます。

【画像】

小学校でのステッカー最終選考

【画像】

子どもたちに選ばれたステッカー