マロンでの保健セクター会議

2016年7月31日

エル・ラマ市マロン保健セクターは、プロジェクトのパイロット保健セクターのひとつです。2015年の保健省による保健セクター再分割により、ワピ保健センターの管轄地域を5保健セクターに分割しました。マロン保健セクターはその中の1つで5集落(マロン、エル・トロ、カベセーラ・バレンティン、ラス・パバス、サン・ヘロニモ)を管轄しています。マロン集落からはバスで1時間30分のワピ保健センターが唯一の医療機関でした。そこに、2016年4月に社会奉仕中の研修医師と研修看護師が家庭地域保健チーム(ESAFC)として初めて派遣され、彼らが常駐するにあたり、マロン集落とカベセーラ・バレンティン集落に、「保健の家」が住民によって建設されました。ESAFCの研修医師と研修看護師が一週間おきに両集落で診療するとともに、月一回、各集落を研修医師もしくは研修看護師が訪問して、動けない患者の診察、妊産婦健診、予防接種などを実施しています。また、同保健セクターでは医療従事者とコミュニティネットワークが参加する保健セクター会議か毎月開催されています。

7月のセクター会議では、エル・トロ集落のある妊婦の話が議題にあがりました。この妊婦は病院での出産やマタニティーホームの滞在を「自宅で出産したい」と拒み、家族も説得できない状態でしたが、同集落の保健ボランティアと医師が何度か家庭訪問し、妊婦を説得することに成功しました。また、この日、久しぶりに参加した、サン・ヘロニモ集落の保健ボランティアから、これまで一人で、ボランティア活動をしてきたが、医師が集落を訪問診療する時に、後方支援はするが、もう保健ボランティアとして活動はしたくないとの発言がありました。その理由は、住民から彼の活動に対する中傷が多くあるとのことでした。この発言を受けて、多くのボランティアは、自分たちの集落の状況と、どのように住民から理解を得てきたかを説明し、彼を励ましました。他集落の保健ボランティアから、住民の理解を得るためには、話し合いが必要との提案があり、即座に住民集会の計画を立て、医師もその集会に参加することを決めました。また、ボランティアは一人では活動が困難なため、この住民集会を利用して、新しいボランティアを募る提案もありました。

保健セクター会議は、医療従事者からの保健情報を得るだけではなく、ボランティアが経験を共有し、困難を共に考えたり、他のボランティアを助けたりする場となっています。最後に、コミュニティネットワークから、このSAMANIプロジェクトのおかげで、医者が集落まで来てもらえるようになって感謝しているとの言葉が寄せられました。

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カベセーラ・バレンティン集落で開催された保健セクター会議

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ボランティアネットワーク。中央は医師。

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ボランティアネットワークが無償で建てた保健の家