(和)道の駅による地域経済振興アドバイザー
(英)Advisory for the promotion of the revitalization of local economies through roadside stations
ニカラグア
2019年2月13日
2020年8月14日から2022年3月15日
(和)地方自治振興庁
(英)Instituto Nicaragüense de Fomento Municipal(INIFOM)
ニカラグアの経済は近年、2010年~2017年の平均GDP成長率が5.2%台を達成するなど着実な成長を実現していたが、一人当たりGDPは2,031米ドルと未だ低いレベルにある(2018、ニカラグア中央銀行)。直近の統計である2010年の国家開発情報院の経済センサスによると、ニカラグアには17万5千の事業所があるが、その88%にあたる15万3千事業所が従業員4人以下の零細事業者および小規模生産者である。他方、市場にて事業を行っているのは2万3千事業所にとどまり、11万5千事業所は自宅を使って事業を営んでおり、零細事業者による市場へのアクセスが不十分な状況にある。
JICAは2012年から課題別研修「地域振興(一村一品運動)」に、市役所や地方自治振興庁(以下、INIFOM)の職員15名を研修員として受け入れ、帰国研修員の活動が活発化する中、2013、2014年度には、同活動をさらに推進するため、研修員の出身地であるニカラグア北部4県にて2回のフォローアップ協力を実施した。その際、研修講師の訪問により現地での活動の有効性が確認され、今後推し進めるべき方向性が示されるとともに、活動や実施体制を定着させることの重要性が提示された。
このような背景のもと、2015年9月から2年間、INIFOMをC/Pに実施した個別案件「地場産業振興アドバイザー(ADEL)」では、上記研修コースと連携しつつ、同北部4県のうち3県を対象に、ニカラグアに適した「分散・体験型見本市(D-HOPE)」の計画・運営方針策定手法の確立を目指し、体験型プログラムやカタログ作成により地元の小規模生産者や生産品の視覚化が進められた。さらに2016年3月には調査団が派遣され、「分散・体験型見本市」と連携したマーケットプレイスの導入方法や必要な取り組み、目指すべきモデル等の検討が行われた。その結果、今後、マーケットプレイスとしての直売所の設立運営と、直売所出荷者としての生産者の組織化が、地場産業振興活動のさらなる展開に必要と認識された。
他方、2014年に終了した開発調査「国家運輸計画プロジェクト」が作成した計画では、交通セクター開発と産業振興の接点として「道の駅」を提案し、ニカラグア政府に有望な戦略のひとつとして受け止められた。こうして上述のADELプロジェクトの成果と連携させつつ、試験的な実施を通してニカラグアに適した道の駅モデルを構築することを目的として、本案件が我が国に対し要請された。
国内の主要な幹線に沿った地点における休憩施設の空間を有効利用し、道路を日常的に使用する者が必要とする物品およびサービスの需要を、都市・農村の中小生産者の供給に結び付け、地域の家庭経済の強化に貢献する。
休憩施設の空間を有効利用し、道路の使用者が必要とする物品およびサービスの需要を利用した、都市、農村の小規模事業発展のパイロットモデルを実現する。
1.INIFOMを中心とした政府関係機関に「道の駅」にかかる共通理解が促進され、北部3県でのパイロット事業実施のための組織間の連携体制が、中央政府、地域レベルで整備される。
2.INIFOM、市役所主導で「道の駅」のコンセプトを取り入れたパイロット事業のアクションプランが策定される。
3.「道の駅」の経験・知見が中央・地域の関係省庁、地方自治体、生産者団体等と共有され、「道の駅」実施にかかる枠組みについて提言が取り纏められる。
1-1.パイロット事業実施を視野に入れつつ、ニカラグアでのこれまでの類似の取り組みにおける運営形態、関係機関の役割、予算分担の仕組みなどを調査する。
1-2.INIFOMを中心に中央政府関係機関に「道の駅」について紹介し、「道の駅」の理解と共通概念の醸成を行う。
1-3.INIFOMを中心に中央政府関係機関において、「道の駅」のコンセプトおよびニカラグア国家政策・投資計画などを勘案し、パイロット事業地選定のための基準(例:既存施設や生産者の能力など)の策定指導と合意に向けた支援・助言を行う。
1-4.1-3の基準に基づいて、北部3県でのパイロット施設選定を支援する。この際にADEL対象地域及びINIFOMをC/Pとして実施中の技術協力プロジェクト「地方自治行政能力強化プロジェクトフェーズ2(以下、FOMUDEL2)」(2018年~2022年)との連携についても考慮する。また、パイロット施設選定方法として自治体等からのプロポーザル方式を検討する。
1-5.「道の駅」パイロット事業を実施推進するための、中央・地方レベルでの組織間の連携や調整体制が整理され、合意されるよう支援する。
2-1.選定されたそれぞれのパイロット事業実施のため、INIFOM本庁担当技官および地方支所技官と共に、パイロット事業地(市レベル)の事業実施体制が整理・合意されるよう、助言・支援を行う。
2-2.選定されたそれぞれのパイロット事業の実施計画書・工程表および予算の策定に対し助言・支援を行う。
(注)パイロット事業の内容としては施設の小規模な改修や物品の購入、生産者に対する研修などハード・ソフトの両面が考えられ、実施にかかる費用はニカラグア政府予算により支出することを想定。パイロット事業実施にかかり、JICAによる予算措置の支援が要請される場合は、研修実施や広報等のソフト面に限り検討する。
2-3.「道の駅」パイロット事業の運営形態の確認を行い、維持・管理費、運営費の積算、およびその予算確保への助言と支援を行う。この際、FOMUDEL2との連携を図り、FOMUDEL2のパイロット市が「道の駅」のパイロット市となるよう調整し、「道の駅」パイロット事業実施計画が「市開発計画(Plan Desarrollo Municipal)」、またその運営費が「市年間事業計画(Plan de Inversión Anual)」に組み込まれるようにする。
2-4.パイロット事業の実施に対し、INIFOM本庁の担当技官および地方支所技官と共に助言・支援を行う。必要に応じて、パイロット事業関係者(政府機関職員および生産者)に対して、適切な研修や他の施設の視察の計画・実施を支援する。
3-1.各パイロット事業関係者が、各事業について評価を行うとともに、教訓やグッドプラクティスを収集し、分析して取りまとめる。
3-2.3-1を踏まえ、ニカラグアに適した「道の駅」実施の枠組みとなるガイドラインを策定する。
(注)ガイドラインの内容は、「道の駅」のコンセプト、また異なる特色を持つパイロット事業の実施から得た、ニカラグアに適した「道の駅」実施基準や条件、実施の際の関係機関の連携・調整の体制のあり方や、それぞれの役割など、いわゆる「道の駅」実施の枠組みを想定。
3-3.3-2のガイドラインや提言などを、政府関係機関、地方自治体、生産者代表などと発表しフィードバックを得る。
1.専門家派遣
2.セミナー開催費、修繕費等
1.カウンターパート
2.執務室スペース等
3.パイロット道の駅の予算(事業費)