プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)農業開発アドバイザー(経済分析)
(英)Advisor for Agriculture Development(Economic analysis)

対象国名

ニカラグア

署名日(実施合意)

2020年1月17日

協力期間

2020年6月5日から2022年3月18日

相手国機関名

(和)農牧省
(英)Ministry of Livestock and Agriculture

背景

ニカラグアの経済は近年、2010年~2017年の平均GDP成長率が5.2%台を達成するなど着実な成長を実現していたが、一人当たりGDPは2,031米ドルと未だ低いレベルにある(2018、ニカラグア中央銀行)。ニカラグアにおいて、農業、畜産業は、GDPへの寄与率の約13.3%(2018、ニカラグア中央銀行)を占める主要な産業である。ニカラグアの農業の特徴として、生産者の93%が中小規模農家であることが挙げられる。ニカラグアの主要産品のうち、コーヒーの70%、肉牛の75%、基礎穀物の90%、フルーツおよび野菜の85%が中小規模農家によって生産されている。(2018、ニカラグア農牧省)このようにニカラグアの主要産品の多くは、中小規模農家によって生産されており、中小規模農家は、ニカラグアのフードバリューチェーン(以下、FVC)を構成する主要なアクターである。一方、小規模農家の抱える問題として、土壌肥培管理や病害虫対策等の技術の不足、市場に関する情報の不足、資材購入や生産物の販売のための組織化の不足などによる生産性・収益性の低さなど、FVCの生産から販売に至るまで多様な課題があげられている。
かかる背景のもと、ニカラグア政府は、国家人間開発計画(2018年~2021年)において、中小規模生産者を中心とした産業化促進のため、重要品目ごとに国家開発戦略を策定することを定め、これまでにコーヒーや肉牛を含む17品目について、国家開発戦略を策定した。これらの国家戦略では、それぞれの農産物の品質向上や、高付加価値化などについて達成目標が提案されている。しかしながら、実際の行動を起こすためには、品目ごとのFVCについて、生産段階のみならず、加工、物流、販売を含めた農産物の市場・流通を包括的に捉え、FVCの構造を明らかにし、各工程における課題を具体的な分析に基づいて抽出し、関係する多様な産官学関係者を巻き込んで対応をする必要がある。以上の背景のものと、ニカラグアのFVCの現況を分析し、課題解決に向けて、助言指導を行うアドバイザーの派遣が我が国に対し要請された。

目標

上位目標

農牧業・農村開発にかかる政策・戦略に基づき、中規模農家がより裨益する。

プロジェクト目標

ニカラグア国農牧セクターにおける中小規模農家の政策・戦略に基づく活動が適切にモニタリングされ、現状に適した対応策が検討される。

成果

1.選定された農産物のFVCが抱える課題(技術、制度、インフラ、資金等)が明らかにされる。
2.同課題の解決に向けた産官学関係者によるアクションプランが策定される。
3.アクションプランの実践に向けた活動及び実践に至る過程から得られる教訓が関係者に共有される。

活動

成果1にかかる活動

1-1.ニカラグアにおける主要な農産品の自給率、ニカラグアにおける農産物貿易(輸出・輸入)状況、投資環境、貿易・投資関連協定の締結状況、食・農産業分野の外国直接投資(FDI)状況、同分野の産業構造、及び同分野における我が国ODA(民間連携事業、技術協力事業等)実施状況等に関する基礎情報を収集し、整理する。
1-2.1-1で収集した基礎情報、ニカラグアのFVCに関する情報等を踏まえ、社会経済開発効果の高い農産物を複数(3種程度)選定する。
1-3.選定された農産物のFVCの課題(技術、政策・制度、インフラ、資金等)、FVCを構成する主要なステークホルダー、ステークホルダー間の関係について、情報収集調査を実施するための側面支援(TORの作成にかかる助言等)を行う。(各FVCの情報収集調査は、ローカルコンサルタントを傭上して行うことを想定。)
1-4.選定された農産物のFVCにかかる情報収集調査の結果を基に、各FVCのボトルネックを分析し整理する。
1-5.食・農関連分野の日本企業等が有する技術・製品・サービス・ノウハウに関する情報、及びニカラグアや中南米地域への事業展開に関心を持つ食・農産業分野の日本企業等の情報を収集する。(これまでの調査情報を活用する)
1-6.1-5で収集した情報の中から、ヒアリング対象企業等を絞り込むための選定基準を作成する。
1-7.同選定基準を基にヒアリング対象企業等を選定の上、ニカラグアでのビジネスアイデア(有用な技術、製品、サービスの概要等)、事業展開上の課題・制約要因、ODAへの期待等についてヒアリングを行う。

成果2にかかる活動

2-1.特定されたFVCの課題解決に向けて、産官学関係者が情報を共有し、協働で取り組みを行い、それをモニタリングするためのプラットフォーム作り及びその運営を支援する。
2-2.上記のプラットフォームにおいて、産官学関係者を対象とした共有セミナーを実施し、特定されたFVCの課題、ボトルネックを共有し、産官学関係者の役割分担や協働を進めるために必要なアクションを提案する。
2-3.産官学関係者が協働でアクションプランを作成するための連携や調整体制が整備されるよう助言・支援をする。

成果3にかかる活動

3-1.上記で作成されたアクションプランの実施に向け、アクションプランの事業実施体制が整理・合意されるよう、助言・支援を行う。
3-2.選定されたそれぞれのアクションプランの実施計画書・工程表および予算の策定に対し助言・支援を行う。
3-3.アクションプランの実施に向けた活動及びその過程をモニタリングし、実践に至るまでの過程における教訓を抽出し整理し、産官学関係者と共有する。(他の品目にも資する教訓等を整理する。)
3-4.日本企業等が有する技術・製品・サービス・ノウハウを紹介する。

投入

日本側投入

1.専門家
2.セミナー開催費等の事業費

相手国側投入

1.C/P
2.執務室
3.事業費