コミュニティにおける小児疾病管理体制づくり

2016年4月4日

プロジェクトでは、子供の栄養改善、病気の予防や処置の向上を通して子供の健康改善にも力を入れています。具体的には、既存のワード(注)保健委員会(WHC)のメンバーや新たにコミュニティから選出されるボランティアを活用して、家庭でできる基本的な子供の疾病管理方法について母親を対象に教育するというものです。この保健教育を通して、プライマリ・ヘルス・センターの利用促進も目指しています。

連邦政府が作成したトレーニング・マニュアルを用いてボランティアを育成するため、まずは2015年10月に地方行政区レベルのトレーナーを養成しました。プロジェクト対象地域であるエティ・オサ地方行政区に加え、9地方行政区も対象として研修を実施しました。これは将来、他の地域への活動拡大も視野に入れてのことです。また、連邦政府、州政府、地方行政区それぞれにトレーナーがいることで、プロジェクト終了後も必要に応じて研修を実施できることが期待できるからです。

2015年11月、養成された地方行政区のトレーナーが、WHCメンバーやコミュニティのボランティア計37名を対象に研修を行いました。参加者からは、研修が参加型で行われ、お互いに学んだ知識を教え合う時間などが十分あったことから、知識の定着が進んだという声があがりました。同時に、さらなる保健知識や今回学んだ知識を復習する機会を設けて欲しいという要望も出ました。この要望に応えるかたちで、今後は短期間の再研修を定期的に実施する予定です。

研修を受講したこれらのコミュニティ人材が、現在は母親グループを形成し、グループ単位で保健教育を提供し始めました。母親一人一人を家庭訪問する方法は、人口の多い都市部では効率も悪いこと、またボランティアの彼らには時間的制約もあることから、少ない人材で効率的に目標を達成できるように、このように母親グループを形成することにしました。今後はこの活動が活発化していくことが望まれます。この活動は、主にボランティアによって実施されているため、彼らのモチベーションが活動の活発化には欠かせない要因となっており、プロジェクトとしてはどのようにそれを維持していけるのか検討しているところです。

(注)ナイジェリアの最小行政単位。プロジェクト対象地域のエティ・オサ地方行政区には5ワードある。

【画像】

WHCメンバーとコミュニティ・ボランティアを対象とした研修の様子