プロジェクト活動

1.事業概要

(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、パンジャブ州の技術短期大学(GCT)工業系ディプロマ機械学科において、製造業の人材ニーズに対応した教育カリキュラムの改訂、マスタートレーナー(注1)の育成、自動車産業、金属加工業等の企業との産学連携の促進を行うことにより、質の高い教育を提供するための組織体制の強化を図り、もって同科が産業界のニーズを満たす人材を輩出することに寄与する。

(注1)トレーナーを育成するトレーナー

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

パンジャブ州東部(パンジャブ州東部の技術短大13校)

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)

直接受益者:パンジャブ州技術短期大学機械学科教官
間接受益者:パンジャブ州技術短期大学機械学科学生及び企業

(4)事業スケジュール(協力期間)

2016年2月27日~2020年2月26日

(5)総事業費(日本側)

6.4億円(暫定)

(6)相手国側実施機関

パンジャブ州技術教育・職業訓練局(Technical Education and Vocational Training Authority :TEVTA, Pun jab Province)及びGCTレイルウェイロード校、GCTファイサラーバード校

(7)投入(インプット)

1)日本側

1)専門家派遣
総括/研修計画/カリキュラム改訂、調整員/産業連携
金属加工機械、溶接鋳造、工業製図・CAD/CAM、CNC、材料検査測定
生産品質管理、機材計画等
2)本邦及び/または第三国研修
3)機材
実習用工作機械及び工具等

2)パキスタン国側

事務所提供
1)カウンターパートの配置
TEVTA
・チーフアドバイザー(Chief Operating Officer)1名
・プロジェクトダイレクター(General Manager, Operation)1名
・プロジェクトコーディネーター 1名
・関係各部門スタッフ及び13GCTが所在する県担当オフィサー 13名
GCTレイルウェイロード校、GCTファイサラーバード校
・校長及び工業系ディプロマ機械学科の科長及び講師
・就職支援室オフィサー 各1名
2)専門家執務スペース
3)プロジェクト活動に必要な経常経費

(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

1)カテゴリ分類(A,B,Cを記載):C
2)カテゴリ分類の根拠:「JICA環境社会配慮ガイドライン」に掲げる影響を及ぼしやすい特性や影響を受けやすい地域に該当しないため。

2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減

本案件でGCTレイルウェイロード校での建築学科の女性訓練生が就職支援室を利用することができる。

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

・技術教育改善プロジェクト(技協)(2008年~2013年)
・自動車部品製造業技術移転プロジェクト(技協)(2015年~2019年)
・建設技術訓練所能力強化プロジェクト(技協)(2015年~2019年)

2)他ドナー等の援助活動

EU、オランダ、ドイツ、ノルウェーによる「TVET改革支援プログラム」。(2011年〜2016年)

2.協力の枠組み

(1)協力概要

1)上位目標と指標

パンジャブ州東部の各GCT工業系ディプロマ機械学科において質の高い教育を提供するための組織体制が強化される。

指標:
1)卒業率の維持
2)卒業から1年後の就職率の増加
3)GCT機械学科の改善計画の導入

2)プロジェクト目標と指標

産業ニーズに基づき、GCTレイルウェイロード校とGCTファイサラバード校の工業系ディプロマ機械学科コースの技術教育の質が向上する。この質の向上に適用されたアプローチがパンジャブ州東部における他のGCT校においても導入される。

指標:
1)GCTレイルウェイロード校とGCTファイサラーバード校の工業系ディプロマ機械学科がNAVTTCの認証基準に基づき、「教授・学習プロセスの効果性」と「労働市場との連携」のそれぞれの項目で80点以上を取る。
2)TEVTAとGCT代表で構成される作業部会でGCT機械学科の改善計画が承認される。

3)成果

成果1:GCTレイルウェイロード校の研修管理サイクル(TMC)が再検討され、各GCTと共有される。本プロジェクトのアプローチを導入するための改善計画が策定される。
成果2:対象GCT工業系ディプロマ機械学科のカリキュラムが製造業の人材育成ニーズを満たす内容に改訂される。
成果3:改訂カリキュラムの実施のために、GCT ファイサラーバード校工業系ディプロマ機械学科の設備が拡充される。
成果4:GCTレイルウェイロード校とGCT ファイサラーバード校が、CoEとして改訂カリキュラムに基づくTrainers of Training(ToT)が実施できるマスタートレーナーを持つ
成果5:産学連携(注2)が強化される。

(注2)カリキュラム改訂への産業界の意見反映、就職セミナー開催、企業へのインターン受け入れ等

3.前提条件・外部条件

(1)事業実施のための前提条件

カウンターパートが十分に確保される。

(2)成果達成のための外部条件

治安悪化によりプロジェクト活動が著しい影響を受けない。

(3)プロジェクト目標達成のための外部条件

主要な産業政策、人材育成戦略が大きく変化しない。

(4)上位目標達成のための外部条件

パキスタンの企業を取り巻くビジネス環境が急激に悪化しない。

4.評価結果

本事業は、パキスタン国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、また計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。

5.過去の類似案件の教訓と本事業への活用

2013年まで実施された「技術教育改善プロジェクト」では、GCTレイルウェイロード校の工業系ディプロマ機械学科を産業界のニーズに沿った技術教育を実施するモデル校とすることに成功し、企業の卒業生に対する満足度(72%)、卒業生のGCTレイルウェイロード校に対する満足度(100%)、ともに高い評価を得た。この成功要因は、きめ細かなニーズアセスメントと実践的な活動計画づくりを研修管理サイクルの中で規定し、カリキュラム改訂及び教員のトレーニング等を実施したことである。本プロジェクトでも、産業界のニーズを確認した上で、研修管理サイクルの内容を見直し、カリキュラム改訂、機材整備、マスタートレーナーの育成、産学連携を達成し、それぞれの成果が相乗効果をもたらすようプロジェクトを実施する。

6.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

協力概要のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始6か月以内 ベースライン調査
事業終了3年度 事後評価

7.安全対策

安全対策については、JICA安全対策措置のパキスタン渡航の条件に従う。