「住民参加型ヘルスプロモーション活動開始」−Part1:家族保健ユニット ペジュパの取り組み−

2014年6月2日

4月に伊藤短期専門家の「住民参加型啓発活動企画ワークショップ」に参加した5つの家族保健ユニット(サンホアキン、パラグアス、ペジュパ、グアヤキクア、ニャティウルグアス)の管轄地域で、妊婦受診率向上を目的とした住民参加型ヘルスプロモーション活動が始まりました。

家族保健ユニット ペジュパは、”Un embarazo es responsabilidad de 2 para la felicidad de TRES(妊娠は、3人の幸せのための2人の責任)”をプロジェクト名に掲げ、11の管轄地域すべてを対象としてプロジェクト活動を開始しました。家族保健ユニット ペジュパの戦略は、3つに分かれており、まず、保健推進員と住民ボランティアが、コミュニティに出向き、コミュニティの人々と共に妊産婦に関して、コミュニティの抱えている問題について話し合います。次にコミュニティで“妊娠・妊産婦の生活上の注意点”等に関する健康教育を実施し、その後、健康教育を受講した住民らと共に妊婦健診向上に向けた演劇を実施します。

ペジュパの管轄区の一つであるホタ・ナタリシオ・ゴンザレス(以下“JNG”)は、家族保健ユニットから5km、出産可能な病院までは、32km(17Km 赤土の道、15Km アスファルト)のところに位置した住民数318名のコミュニティです。住民の多くは、農業・牧畜を生業とし、キャッサバ、トウモロコシ、サトウキビなどを栽培しています。公共交通機関はなく、人々の足は、主にバイクです。大雨が降ると陸の孤島になる地域もあります。教育面に関しては、コミュニティ内に小学校が一校ありますが、中学校・高等学校は、13km離れた隣の市に通わなければなりません。学校が整備されていなかった昔、人々は教育にアクセスできる機会がなく、とりわけ40歳以上の住民は読み書きが困難な状況です。

住民会議では、JNGの住民らは妊産婦に関するコミュニティの抱えている問題として“妊娠・出産に対する意識の低さ”を挙げました。そして、会議の中で、保健推進員は、住民からコミュニティで妊娠・出産に関する健康教育をしてほしいとの旨依頼を受けました。その後、保健推進員が、5月27日(火)コミュニティ内の小教会で、健康教育を実施しました。参加した13名の参加者は、妊婦健診の重要性、出産までに必要な妊婦健診の回数、妊産婦の栄養、必要な予防接種、病院での出産の重要性について学びました。今後、さらに妊婦健診についての理解を高め、妊婦さん自ら家族保健ユニットに行き妊婦健診を受けることが出来るよう行動の変容を意識づけ、受診率を向上させるため住民と共に講習および演劇を行う予定です。そして、将来は妊産婦さんへの協力体制をコミュニティ自ら構築できるような家族保健ユニット活動につながることを願っております。

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健康教育を行う家族保健ユニット ペジュパの保健推進員

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ホタ・ナタリシオ・ゴンザレスコミュニティの妊婦さんと健康教育に参加した住民ら

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事前アンケートをする神谷睦美コンサルタント(分野:地域保健)