プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)プライマリーヘルスケア体制強化アドバイザー
(英)Advisor for Strengthening of Primary Health Care System
(西)Fortalecimiento del Sistema de Capacitación de Educación Permanente a Nivel Nacional

対象国名

パラグアイ

署名日(実施合意)

2019年6月25日

プロジェクトサイト

アスンシオン市、コルディジェラ県、パラグアリ県

協力期間

2019年4月1日~2022年3月31日(3年間)

相手国機関名

(和)厚生省
(英)Ministry of Public Health and Social Welfare

背景

パラグアイ共和国(以下「パラグアイ」という。)の保健指標は、2015年の妊産婦死亡率132(出生10万人対)、乳児死亡率18(出生1000人対)となっており、中南米地域の平均67、15より高い(世銀、2015)。

この状況に対し、パラグアイは一次保健医療サービスへのアクセス改善として家族保健ユニット(Unidades de Salud de la Familia。以下「USF」という。医師、看護師、助産師、保健推進員で構成される保健医療チーム)を設置し、彼らの活動を通じて地域保健医療サービスを改善し、プライマリーヘルスケア(以下「PHC」という。)の強化を図っている。なお同省は、「生活の質と平等な健康に向けた公共政策」を2008年8月より掲げ、現在も「保健医療分野政策2013-2018」の中でPHCの実施促進を重点課題と設定している。同政策の実現に向けた取り組みを促進する目的で我が国は、技術協力プロジェクト「プライマリーヘルスケア体制強化プロジェクト(以下「PHCプロジェクト」という。)」(2012年2月から5年間)を実施した。PHCプロジェクトは、カアグアス県を対象に1)PHC継続教育モデル、2)USF機能評価モデル、3)住民参加型ヘルスプロモーションモデルを確立させ、同県における施設分娩率などの改善に寄与した。しかし、他県への拡大普及については、現地のモニタリング能力が十分ではなく、また活動を展開・継続するための費用が限られることから、現地人材養成及び予算の確保が課題となっている。

このような状況の中、カアグアス県で確立されたモデルのカニンデジュ県への普及活動について、現地で社会活動を支援しているイタイプ公団が関心を示し、JICAが活動に携わることを前提として資金提供の申し入れがあった。これを受け、パラグアイから厚生省及びカニンデジュ県当局への技術的な指導及び助言を目的とした専門家派遣の要請が我が国にあった。

しかしながら案件開始後の2019年2月のアドバイザーの滞在中に、2018年の政権交代を理由とする厚生省の方針変更表明があり、派遣の目的、成果、活動の修正が要望された。具体的にはカニンデジュ県のみを対象とした事業から、全国を対象としたUSF向けの継続教育計画構築を目指す事業とし、助言及び指導が要望された。

目標

上位目標

カアグアス県のPHCプロジェクトで確立されたUSFを核としたPHC継続教育研修モデルを、全国に普及させる

プロジェクト目標

厚生省全国継続教育研修システムを、厚生省関係部局(国家人材戦略局(DNERHS)、プライマリーヘルスケア局(APS)、国立看護・助産継続教育院(INEPEO))とともに構築し、その研修実施計画書の策定と、それに沿った研修、モニタリング、評価の実施支援を通じて、USFの保健医療サービスの質を向上させる。

成果

1.カアグアス県のPHCプロジェクトの成果・結果をベースとした全国継続教育研修コンテンツ・研修デザイン(1.USFが提供するサービス、2.住民参加型ヘルスプロモーション、3.コミュニティによる保健推進、4.リプロダクティブヘルス、5.高血圧・糖尿病統合ケア)が確立される。
2.非対面型研修及び対面型研修(面接授業・演習・実習)を組合せた研修形態が確立される。
3.確立した全国継続教育研修コンテンツ・研修デザインに沿った研修がカスケード方式で実施される。
4.上記研修の「モニタリング・評価」シートの作成と手法が確立される。
5.PHCプロジェクトの成果・経験をベースとした住民参加型ヘルスプロモーションモデルが導入される。

活動

成果1.の活動については、原則、DNERHS、APS、INEPEOとともに行う。
1-1.現行のPHC医療従事者に対する継続教育の全研修(全体像)を検討する(継続教育ビジョン)。
1-2.APS局が実施している現行のPHC医療従事者に対する全研修プログラム内容を検討する。
1-3.DNERHS局が実施しているPHC医療従事者に対する全研修プログラム内容を検討する。
1-4.INEPEOが実施しているPHC医療従事者に対する全研修プログラム内容を検討する。
1-5.上記研修プログラム内容を総論研修と疾患別・対象別研修に分類する(全研修の整理)。
1-6.分類された研修プログラム内容と「PHCプロジェクト」で実施した研修プログラム内容を統合し、共通の研修プログラム内容を作成する(全国継続教育研修プログラムの標準化=全国継続教育研修標準プログラム)ことに対し、助言・指導を行う。

2-1.APS局とともに継続教育研修のうちPHC医療従事者に対する研修方法(研修形態に関する全体像)を検討する。
2-2.DNERHS局、APS局とともに研修プログラム内容の仕分けを行う(非対面型研修、対面型研修(面接授業・演習・実習)。
2-3.上記で仕分けした研修方法をベースに、全国継続教育研修標準プログラムに研修形態を記載し、全国標準研修プログラムを完成させることに対し、助言・指導を行う。

3-1.全国継続教育標準研修プログラム(内容と形態)に沿った形で、APS局、DNERHS局が、カスケード方式を導入した継続教育研修実施計画を策定する過程を支援する。
3-2.APS局とともに研修対象県を複数選出する。その後、各対象県のファシリテーター候補者の確保を支援する。
3-3.APS局、DNERHS局が行う、カアグアス県の研修講師(元カアグアス県研修ファシリテーター)による理論教育内容に関するビデオ制作を支援する。
3-4.APS局、DNERHS局が行う、カアグアス県の研修講師による授業内容の撮影、編集を支援する。
3-5.上記3-2.で選出された各対象県のファシリテーター候補者に対し実施される、全国継続教育ファシリテーター養成研修を支援する。
3-6.養成された各対象県の全国継続教育研修ファシリテーターによるカスケード方式での研修の実施を支援する。

4-1.DNERHS局が実施する非対面型研修授業評価シートの作成を支援する。
4-2.APS局、DNERHS局による全国継続教育研修標準プログラムを使用した研修のモニタリング・評価シートの作成を支援する。
4-3.全国継続教育研修のモニタリング・評価実施計画の作成を支援する。
4-4.モジュール4「住民参加型ヘルスプロモーション」、モジュール5「コミュニティによる保健推進」にかかる研修モニタリング・評価について、各対象県内のパイロット地域(原則、各県内で、3つのUSFが管轄する地域)における実施を支援する。

成果5.の活動を実施する地域は、原則、各対象県内の上記パイロット地域とする。
5-1.APS局とともに「PHCプロジェクト」で作成・実施したモジュール4「住民参加型ヘルスプロモーション」、モジュール5「コミュニティによる保健推進」の見直しを行い、住民参加型ヘルスプロモーション標準研修プログラムの作成を支援する。
5-2.DNERHS局、カアグアス県の研修講師とともに、上記標準研修プログラムに沿った教授案・教材作成(ビデオ教材制作含む)の支援を行う。
5-3.APS局とともに研修講師が中心となり、各対象県のファシリテーターおよびそのファシリテーターが管轄する地域の住民に対して実施される、上記パイロット地域における住民参加型ヘルスプロモーション研修を支援する。
5-4.研修終了3週間後、各対象県のファシリテーターが地域住民とともにヘルスプロモーションに関して策定する活動計画について指導を行う。

投入

日本側投入

短期専門家、現地活動費

相手国側投入

CPの配置、CP経費、プロジェクト事務所スペースの提供、事務所維持経費等