プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)パラグアイにおける農牧バリューチェーン強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening the Agricultural Value Chain in Paraguay
(西)Proyecto de Fortalecimiento de la Cadena de Valor Agropecuaria en Paraguay

対象国名

パラグアイ

署名日(実施合意)

2020年11月16日

プロジェクトサイト

全国及びパイロットプロジェクト対象地域(カアグアス県(トマト)、イタプア県(マテ茶と豚肉))

協力期間

2021年3月2日から2025年9月1日(4年6カ月間)

相手国機関名

(和)農牧省、生産協同組合連合会
(英)Ministry of Agriculture and Livestock、Federation of Production Cooperatives(FECOPROD)

背景

農牧業のグローバル化が進む中、パラグアイでは大豆や牛肉等農牧産品の輸出促進が国の経済成長を強力に後押しし、新規市場への参入も進められ、農牧業は当国の経済発展に欠かせない重要な位置を占めている。しかし、大豆などの一次産品輸出に過度に依存した農業経済は、国際価格低迷の影響を直接受けることとなり、付加価値の欠如や土地の劣化による生産性の低下及び収益の悪化等、生産・販売環境の改善が課題である。また、農村部住民の多くを占め、野菜や穀物、酪農・畜産品等の生産に従事する小規模家族経営農家は、市場ニーズを反映した栽培技術の適用や収支計算に基づいた適切な生産販売が不十分であり、金融アクセスの欠如や近隣国からの農牧産品流入も相まって、効率的で競争力のある農牧産品バリューチェーンへの参入が困難な状況にある。
かかる状況を受け、農牧省は、他行政機関および民間セクターと協力して、新たなポテンシャルを有する農牧産品の特定と国内外市場への参入強化を目的とし、生産・販売体制の強化に向けた取組みを進めている。日本はこれまでに、小農が生産する農産物の輸出体制整備や有望農牧産品を特定するバリューチェーン調査を支援しており、本プロジェクトでは、農牧省と生産協同組合連盟(FECOPROD)による官民連携を基盤に、市場志向型農牧産品の調査・選定から、選定された産品の生産、加工、流通、販売に至るバリューチェーンの診断及び川下に向けての強化を行うことで、輸出及び国内市場に向けたパラグアイ農牧産品の多様化と商業化を進め、小規模家族経営農家の生産性と生計の向上を図ることを目的に技術協力を行う。

目標

上位目標

対象農牧産品のバリューチェーン強化を通じて、対象地域の裨益生産者の収入が向上する。

プロジェクト目標

対象農牧産品の多様化と商業化を通じて、バリューチェーンが強化される。

成果

第1フェーズ:計画

1.対象3品目のバリューチェーンの現状が診断され、具体的な対応が提示される。

第2フェーズ:実施

2.選定された農牧産品のバリューチェーン強化に向けた取組みが実践され、加工及び流通・販売方法が改善される。
3.対象産品のバリューチェーン強化を通じ、バリューチェーン構築における官民の機能と役割が強化される。

活動

第1フェーズ:計画

1-1.可能性のある農牧産品の現状把握と「加工技術」や「流通/販売」を中心に優先課題特定のため、既存のバリューチェーン調査文献及び追加調査を行う。
1-2.1-1で実施した分析結果に基づき対象産品を選定する。
1-3.適切なパイロット事業を選定する。
1-4.「産品登録・認証システム」や「投資誘致策」含め、農牧産品バリューチェーン強化に向けた政策・制度面の現状と課題、他国のグッドプラクティスを把握し、共有する。
1-5.選定された対象産品のバリューチェーン強化を具体的に進めるための全体的なアクションプランを作成する。

第2フェーズ:実施

2-1.トマト(他の園芸作物含む)
2-1-1.パイロット事業実施のためのワーキンググループ(WG)を結成し、アクションプランを作成する。
2-1-2.WGメンバーがSHEPの指導を行う普及員のTOTを実施する。
2-1-3.カアグアス県の対象地域の農家を対象としたSHEP紹介セミナーを実施する。
2-1-4.SHEPを実施する農家グループを決定する。
2-1-5.選定されたグループの農家が市場調査を実施する。
2-1-6.対象農家が農業資材販売業者、バイヤー、スーパーマーケット等と情報交換を行う場を設定する。
2-1-7.対象農家が作物カレンダーを作成する。
2-1-8.対象農家に対し、家計研修、ジェンダー研修、栽培技術研修等を実施する。
2-1-9.WGが対象農家のモニタリング・指導を行う。

2-2.マテ茶
2-2-1.パイロット事業実施のためのWGを結成する。
2-2-2.WGメンバーが、生産者協会・組合の抱える課題やビジョンの抽出を行うワークショップを開催し、アクションプランを作成する。
2-2-3.WGが生産者協会・組合のTOTを実施する(農家の家計管理、品質管理・向上、GAP等)。
2-2-4.生産者協会・組合が農家に対する研修を実施する。
2-2-5.生産者協会・組合が研修実施後に農家のモニタリング・指導を行う。
2-2-6.WGが国内外におけるマテ茶製品(加工品含む)のマーケティング調査を実施する。
2-2-7.2-2-6の調査結果を踏まえて商品開発を行う。
2-2-8.茶葉および加工商品のパッケージを改良する。
2-2-9.日本の緑茶の生産・加工に関する技術紹介セミナーを実施する。

2-3.豚肉
2-3-1.パイロット事業実施のためのWGを結成する。
2-3-2.WGが年間研修計画を策定し、ターゲットグループと研修内容を決め、アクションプランを作成する。
2-3-3.生産者・加工業者への研修(GPP、GMP、HACCP、ビジネスマネジメント等)を実施する。
2-3-4.WGが研修をモニタリングし評価する。
2-3-5.WGが「広報計画」10の優先事項を分析する。
2-3-6.広報計画に基づき、販売促進のコンテンツ(国内外のレシピを含む)を作成し、実施する。
2-3-7.新商品の開発、包装の改善、ロジスティクス、市場などに必要な調査を実施する。
2-3-8.豚肉加工品の商品開発を行う。
2-3-9.加工品のパッケージの改良を行う。
2-3-10.日本の豚生産・流通・加工に関する技術の紹介セミナーを実施する。

3-1.農牧省およびFECOPRODが各産品のパイロット事業の取組み状況をモニタリングする会合を開催する。
3-2.モニタリング結果を踏まえ、プロジェクト活動の見直しを行う
3-3.モニタリング結果を踏まえ、関連する組織と調整して、関係者の管理能力を強化する。
3-4.モニタリング結果を踏まえ、必要に応じ、バリューチェーン強化に資する法規制や基準の見直しを行う。

投入

日本側投入

第2フェーズ:実施

短期専門家
・業務主任者/バリューチェーン強化/官民連携
・園芸作物栽培/市場志向型農業
・商品開発/マーケティング/パッケージ開発
・研修監理/モニタリング
本邦研修、第三国研修(SHEP、商品開発)

相手国側投入

各専門家のC/P及びプロジェクト実施に必要な人材配置
プロジェクト事務所及び執務環境
現地運営費