施設分娩率・産前産後ケア受診率が着実に増加しています。

2014年7月15日

プロジェクトではこれまで、すべての妊産婦が医療施設でお産ができるよう、機材と人材の両面から保健医療施設の整備に取り組んできました。現在、整備対象14病院および20保健所のすべてがフィリピン保健省から基礎的緊急産科・新生児ケア(Basic Emergency Obstetric and Newborn Care、通称BEmONC)認証を取得し、既にサービス提供を開始しています。また、特に遠隔地に住む妊産婦がより近くの医療施設でお産ができるよう、村落(バランガイ)での保健施設(バランガイヘルスステーション:村落保健支所)61か所をBEmONC認証施設として整備しました。

さらに、妊産婦に施設分娩や産前産後ケア受診の必要性を十分理解してもらうことも重要ですが、これまで多くの妊産婦にとって分かりやすく地域の文化を反映した適当な啓発教材がありませんでした。そこでプロジェクトでは、フリップチャート(紙芝居型)やバナー(横断幕)を製作しました。フリップチャートはプロジェクト対象地域内3,000名すべての助産師や保健ボランティアに母子手帳とともに配布され、家庭訪問などの際に利用されています。また、バナーはプロジェクト対象地域内の360自治体すべてに配布され、コミュニティ集会所や市場、バス停など人通りが多い場所に掲示されています。

以上のようなプロジェクト支援活動が実り、保健所や村落保健支所での分娩数が増加し、施設分娩率や産前産後ケア受診率が着実に上昇しています。

【画像】プロジェクト対象地域における施設タイプ別施設分娩率推移(2012年・2013年)

一方、難しいお産や緊急時には病院での分娩が必要になりますが、その際の医療費負担を心配しなくても良いよう、妊産婦があらかじめ国民健康保険に加入しておくことも重要です。2013年度、プロジェクトが独自に調査したところ、プロジェクト対象地域における妊産婦の国民健康保険加入率は平均で50%を下回っており、たとえば、アブラ州6町では妊産婦4人につき1人しか加入していなかったことが明らかとなりました。医療費負担の懸念から自宅分娩を選択することのないよう、今年度は特に、妊産婦に対し国民健康保険加入の重要性を啓発していきます。

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3,000名の保健ボランティアにフリップチャートを配布し、講習を実施しました。

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バナーも製作しました。

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往来の多い場所にバナーが掲示されています。