アブラ州の全域において、保健サービス拡充に向けた自治体間の協力体制が活性化されています

2016年10月17日

プロジェクトでは、活動の結果得られる成果の1つとして「プロジェクト対象サイトの保健のガバナンスと財政が、自治体間保健ゾーン(Inter Local Health Zone [ILHZ](注))の機能を通じて強化される」ことを掲げています。プロジェクトが直接支援の対象としているのは、ベンゲット州、アパヤオ州、およびアブラ州の全27町中6町であり、アブラ州の残り21町は対象外となっています。これは、プロジェクト開始前の計画段階において、これら21町はILHZの設立に消極的な立場をとっていたからでした。

((注)ILHZとは、州内の複数の自治体同士で患者搬送ネットワークの構築など保健サービスにかかる協定を結んでいる区間を指します。)

一方、アブラ州の対象サイト6町にはもともと2つのILHZが存在していましたが、休眠状態か活動していても機能していないという状況でした。しかし、プロジェクトからの支援により、この形骸化していた2つのILHZは再活性化に成功しています。具体的には、医療施設間の連携を強化し効率的な患者搬送システムを確立させたり、共同基金を設置しILHZ活動に当てたり、定期的に会合を開きリファラル体制を確認するなどの活動を行ってきました。その結果、共用の搬送用車輛が準備でき患者搬送に活用される、患者がより効率的に適切な医療機関へ搬送される、といった効果を生み出しています。

プロジェクトではまた、「プロジェクトの成果をコーディレラ地域全体へ展開する」という別の成果を掲げています。この成果達成に向けた活動として、2016年9月13〜14日、アブラ州の対象外サイト21町の保健担当者および医療従事者を招集し、これまでILHZ再活性化により得られた好事例を紹介しました。この会議には、コーディレラ州保健局関係者、アブラ州立病院やアブラ州の対象サイトにある上記2つのILHZの関係者も出席し、実際の取り組みや得られた効果について説明をしました。その結果、対象外サイト21町においてもILHZを新規設立する、もしくは既存のILHZへ参加することが正式に表明されました。ILHZ設立へと意向を転換させたのは、現実問題としてリファラルシステムが機能しておらず、適切な医療サービスを全住民へ提供できていないという認識があり、一方では同じ州内の身近なところでリファラルシステムが機能している状況に強い支持が集まったからだといえます。

その後2016年9月末現在、ILHZの構成自治体同士の協定書取り交わしや設立に対する町長の許可を得るなど、21全ての町において順調に設立に向けた活動が進んでいます。

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プロジェクトのメンバーがこれまでの活動を踏まえて、ILHZの役割とその有効性を説明した。

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2012年プロジェクト開始時、アブラ州には2つのILHZしかなかった(地図1)が、
2016年10月現在、全ての町がILHZを構成することとなった(地図2)。