(和)海岸災害対策及び海岸保全能力向上プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development in Coastal Engineering for Disaster Resiliency
フィリピン
2022年2月16日
2022年4月17日から2027年4月16日
(和)公共事業道路省
(英)Department of Public Works and Highways
面積当たりの海岸線延長が世界一のフィリピンでは、人口や資産の約6割が海岸部に集中している。台風による影響も受け、2013年の台風ヨランダでは主に高潮の被害により6,000人を超える死者が出た。このような状況のため、フィリピン国政府は沿岸の防御のため護岸や海岸道路などの建設を行っているが、これら構造物の被害や周辺地域への影響が発生している状況も見受けられ、海岸防災対策が喫緊の課題となっている。本プロジェクトでは、フィリピンにおいて海岸防災のコア人材育成や技術ガイドライン策定の支援及び今後の海岸管理対策に向けた課題抽出を行い、カウンターパートの海岸工学に関する能力強化を図り、フィリピンでの海岸防災対策を推進していく。
カウンターパートである公共事業道路省(DPWH)は海岸災害対策促進のため、2018年にDPWH本部に海岸室を設置したところであるが、各地で発生するこのような負のインパクトを避けつつ、高潮や海岸侵食、津波などの海岸災害に総合的に対応するには、職員の海岸工学に関する知識や技術、経験が十分ではなく、能力強化が必要とされている。このような状況の中、フィリピン政府より我が国に対し、海岸工学(海岸侵食・海岸災害対策)に関する能力強化に関する支援が要請された。
我が国によるフィリピンにおける海岸災害対策への協力は、「台風ヨランダ災害緊急復旧復興支援プロジェクト」(2014年2月~2016年10月)、「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進プロジェクト」(2010年2月~2015年2月)、「広域防災システム整備計画」(2012年6月~2012年12月)により、高潮災害対応と津波防災について行われている。DPWHに対しては、技術協力プロジェクトや長期専門家(総合治水)の派遣等の支援を行っている。
海岸の災害リスク削減及びインフラ施設の状態が、対策実施によって改善される。
人材育成や技術ガイドラインの策定を通じて、DPWH(海岸室を含む)の海岸工学に関する基礎的な能力が強化される。
1.DPWH(海岸室を含む)のコア人材の海岸工学に関する基礎知識が向上する。
2.各海岸の現状に基づいた海岸工学への理解が向上する。
3.各海岸の現場に対する構造物対策がDPWH職員により検討され、技術ガイドラインが策定される。
4.プロジェクトで身に付けた海岸工学に関する能力及びプロジェクトで策定したガイドラインに基づき、DPWHがパイロット活動地域を選定し、パイロット活動が実施される。
5.海岸工学に関する人材育成計画が策定される。
6.海岸管理に関する法制度や関係組織、海岸利用の実態などの情報が収集され、今後の対策に向けた課題が抽出され取りまとめられる。
1-1.海岸工学の基礎知識に関する講義を実施する。
1-2.海岸工学の基礎知識に関するガイドラインを策定する。
2-1.海岸地域で生じている具体的な現象を理解するためのケーススタディ活動を実施する。
2-2.海岸地域の現象を理解するためのガイドラインを策定する。
3-1.構造物対策を検討し周囲への影響を理解するためのケーススタディ活動を実施する。
3-2.構造物対策を計画するためのガイドラインを策定する。
3-3.構造物設計のためのガイドラインを策定する。
4-1.成果3で策定されたガイドラインに基づいたパイロット活動を計画し設計する。
4-2.パイロット活動を実施する。
4-3.パイロット活動の実施結果を確認し、ガイドラインの改良を検討する。
5-1.海岸工学に関する研修ニーズのアセスメントを行う。
5-2.人材育成計画を策定する。
5-3.プロジェクトの成果を活用して人材育成活動を実施する。
6-1.海岸域で発生している、不法占拠、乱開発、構造物被害などの現状を調査する。
6-2.既存法令、規則、組織や法体系などの情報を収集する。
6-3.法制度と現実の差を調査し、必要となる政策を検討するために各省の施策を分析する。
6-4.調査した結果を取りまとめ、課題を抽出し、海岸災害対策及び海岸保全に関するロードマップ案を検討する。
短期11名
課題別研修「島嶼国における持続性の高い海岸保全対策」への上乗せ参加、海岸工学の国別研修で研修員受け入れ。また、海岸工学分野における修士課程の長期研修員の受け入れ。
GPS装置、ドローン、波高・流速測定装置、車両(2022年7月6日時点)
カウンターパートの配置
案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供