プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ICTを活用した初等理数科学びの改善プロジェクト
(英)Project to Strengthen Primary School Mathematics and Science with the Use of ICT

対象国名

ルワンダ

署名日(実施合意)

2021年5月14日

協力期間

2021年9月1日から2026年8月31日

相手国機関名

(和)ルワンダ教育省、ルワンダ教育委員会
(英)Ministry of Education(MINEDUC), Rwanda Basic Education Board(REB)

背景

ルワンダ共和国(以下、ルワンダ)は、長期開発計画「Vision2020」「Vision2050」において、持続的な知識基盤型社会の実現に向けた重点分野の筆頭に人的資本開発や全国民のデジタルリテラシー獲得を掲げている。教育省(Ministry of Education、以下「MINEDUC」)及びその実施機関である教育庁(Rwanda Basic Education Board、以下「REB」)は、その根幹となる教育の質とアクセスの改善に取り組み、初等教育純就学率98.9%(2020/21年)など教育のアクセス改善を達成している。他方で、学びの質及びそれに伴う内部効率性(進級率、留年率、退学率、修了率、残存率)には未だ深刻な課題があり、2019/20年度の初等教育課程留年・中退率は20%以上と、同年度目標値(留年・中退率14.3%)が達成されておらず、要因として、教員養成課程の質により初等教員の授業の質が不十分であることが挙げられている。教員養成課程の強化は教員職能開発政策(Teacher Development and Management Policy、以下「TDM Policy」)において最優先課題の1つに挙げられているが、教員養成課程の生徒の学力は、既習事項の正答率が半分以下、特に低い領域では11%など、大きな課題が見られている 。なお男子生徒正答数の方が7~9%高い傾向にある。
このような課題に対し「国家変革戦略(NST1)(2018-2024)」では、教職課程出身教員の増加や優秀な学校教員の確保、教育課程におけるICT利活用やSTEM教育の促進が掲げられ、教育セクター戦略計画(Education Sector Strategic Plan III、以下「ESSP3」)では、優先課題として「教員の継続職能研修と運営の強化」と「指導と学びの質改善のためのICT活用促進」が示されている。教育庁は、教員の職能開発や教員養成校(Teacher Training Collage、以下「TTC」)生徒の補完学習用のオンラインプラットフォーム(e-learning platform)や各校におけるスマートクラスルームを整備しているが、いずれも学習改善のための効果的な活用には至っていない。
本事業は、デジタル教材を通じて、ICTを活用した学習改善に取り組む。教員養成校生徒個々においてはインタラクティブなフィードバックによる学びの効率化、指導員においては可視化された生徒の学習状況に応じた授業改善や指導の個別化を実現し、新規教員の学力・指導力の向上を目指すことで、子どもの学びを改善できる十分な知識・技量を身に付けた教員の養成に寄与する。

目標

上位目標

初等理数科教育が強化される

プロジェクト目標

教員養成校生徒が、効果的に初等理数科を教えることができるよう、ICT活用を通して適切に育成される

成果

1.教員養成校における初等教員養成課程のICT活用に関連する政策・戦略・計画が整備される
2.SME・ECLPEコースの理数科授業の質がICT活用を通して改善される
3.SME・ECLPEコースの生徒の教科教育に係る技量がICT活用を通して強化される

活動

成果1.教員養成校における初等教員養成課程のICT活用に関連する政策・戦略・計画が整備される

1-0.調査を実施しプロジェクトの支援内容を特定する
1-1.活動実施に向け、e-learning platformの機能を検査・修復する
1-2.初等理数科教員養成課程SME・ECLPEコースにおける「ICTを活用した学びの改善計画」を策定する
1-3.教師教育政策の活動として、ICT活用を重視した初等教員養成戦略・費用計画をドラフトする
1-4.戦略・費用計画の教育ICT政策への反映を支援する
1-5.教員養成校の優先的なICT環境整備に係るICT省への働きかけを支援する
1-6.教員養成校における「学習端末管理ガイドライン」を作成する
1-7.教員養成校指導員に対し、ガイドラインに基づいた学習端末管理に係るワークショップを実施する
1-8.ガイドラインに基づき、SME・ECLPEコースにおける学習端末を管理する
1-9.既存のCBC教科書を学習端末にダウンロードする

成果2.ICTの活用によりSME・ECLPEコースにおける理数科授業の質が改善される

2-0.調査を実施しプロジェクトの支援内容を特定する
2-1.ベースライン調査を実施する(成果3も含む)
2-2.CBC教科書準拠の理数科インタラクティブ問題集を開発し、e-learning platformにアップロードする
2-3.教員養成校指導員に対し、理数科インタラクティブ問題集の開発・活用・改善に係るワークショップを実施する(注1)
2-4.教員養成校指導員がデジタル教科書及び問題集による理数科・自習授業を実施する(注1)
2-5.CPD活動において、理数科インタラクティブ問題集を活用した形成的評価による学習者支援に係る研修とモニタリングを実施する(注1)
2-6.効果検証調査を実施する(成果3も含む)
2-7.全国普及に向け、効果検証結果に基づいてアプローチを修正する
2-8.エンドライン調査を実施する(成果3も含む)
2-9.プロジェクトの介入結果に基づき、初等教員養成カリキュラム及びアセスメントに対する提言を取りまとめる
2-10.各教員養成校が年間計画に基づき理数科指導員によるCPD活動を継続実施する(成果3も含む)

成果3.ICTの活用によりSME・ECLPEコースの生徒の初等理数科指導力が強化される

3-0.調査を実施しプロジェクトの支援内容を特定する
3-1.マイクロティーチング及び教育実習支援における録画活用に係るガイドラインを作成する(注2)
3-2.CBC教科書準拠のTMPインタラクティブ問題集を開発し、学習端末に搭載する(注)e-learning platformにアップロードする)
3-3.教員養成校指導員に対し、TMPインタラクティブ問題集の開発・活用・改善に係るワークショップを実施する
3-4.教員養成校指導員がデジタル教科書及び問題集によるTMP授業を実施する(注1)
3-5.CPD活動において、TMPインタラクティブ問題集を活用した形成的評価による学習者支援に係る研修とモニタリングを実施する(注1)
3-6.TMP授業において、教員養成校指導員がTMPインタラクティブ問題集の作成・活用に係る指導を行う(注1)
3-7.本アプローチとTMP及び教育実習に係る実施中・実施予定活動を整合させる
3-8.教育実習の実施にあたり理数科指導員及び附属校教員を支援する
3-9.教員養成校生徒の教授・指導力評価枠組みをレビューし、必要な改訂を行う
3-10.全国普及に向け、効果検証結果に基づいてアプローチを修正する
3-11.録画された初等理数科授業を教員養成校指導員と附属校教員の合同共有会においてレビュー・分析する
3-12.合同会議において特定された教育実習に係る政策・制度的課題がCPDテクニカルワーキンググループ・教員養成タスクフォースへ提言される
3-13.教員養成校卒業生の配属先小学校における効果的な授業実施を支援する

(注1)2022/23学年度中に試行活動・効果検証を行い、2023/24年度から展開する
(注2)主にスマートフォン活用型モデル実施校を対象とする

投入

日本側投入

1)専門家派遣(総括、教師教育、理数科教育、教授法、ICT利活用、教育計画、教材開発、モニタリング評価、政策・制度化/モニタリング・評価/業務調整)
2)専門家活動経費(調査・分析、車両等)
3)活動1-7, 2-1, 2-2, 2-3, 2-6, 2-8, 3-2, 3-3に係る費用
4)試行フェーズ期間の対象校におけるスマートクラスルームのインターネット接続強化費用
5)スマートフォンモデルを実施するZZ校における学習端末、プロジェクター、インターネット接続強化費用
6)プロジェクトオフィス用プリンター
7)本邦研修

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)プロジェクトオフィス及びその管理費
3)活動1-8, 2-5, 2-10, 3-5, 3-11に係る費用
4)スマートクラスルームのインターネット接続にかかる現行費用