太平洋気候変動センターによる地域対話 能力強化にかかるパネルディスカッションの開催

2021年6月7日

日本の無償資金協力により建設された太平洋気候変動センター(PCCC)は、2019年9月に開所して以降、気候変動分野の地域ハブとして、既存のパートナーシップも活用しながら4つの機能(知識の媒介、応用研究、能力強化、イノベーション)の強化を図ってきました。5月26日・27日に開催した地域対話では、太平洋島嶼国・地域の省庁、研究機関、ドナー、民間セクター・非政府組織の関係者を招き、パートナーシップの更なる拡大を目指してパネルディスカッションが行われました。

対話の開会にあたって、SPREPのコシ総裁の他、PCCCを支援するサモア政府、日本国政府、ニュージーランド政府から挨拶が行われました。日本の寺澤元一特命全権大使からは、これまでのSPREP/PCCCによる尽力への感謝が述べられ、コロナ禍においてJICAプロジェクトがオンライン研修を実施していること、日本の2050年カーボンニュートラルの宣言を含む日本の温室効果ガス削減目標が紹介されました。

続いて、PCCCの4つの機能それぞれについてパネルディスカッションが行われました。1つめの「研修・学習を通じた能力強化(capacity Building through training and learning)」にかかるパネルディスカッションでは、JICAの「気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト」から小川チーフアドバイザーが登壇し、同プロジェクトで実施中の広域研修の概要やこれまでの成果を紹介しました。

「研修・学習を通じた能力強化」にかかるパネルディスカッションの概要

モデレーター

・フレッド・パティソン(Mr. Fred Patison) 太平洋気候変動センター 気候変動資金レディネスアドバイザー

登壇者

・サラ・シアオシ・カーター(Sala Dr. Siaosi Carter) 豪州国立大学 リサーチフェロー
・小川眞佐子 気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト チーフアドバイザー
・チャンドラ・レジェソグ(Ms. Chandra Ledgesog) ミクロネシア連邦 環境・気候変動・緊急管理省 プロジェクトマネジャー

内容

本パネルディスカッションでは、PCCCの「能力強化」にかかる取組の進捗と今後の研修機会について議論が行われました。
カーター氏からは、コロナ禍においてオンライン研修のニーズが高まったことを背景に、2021年3月に立ち上げられたPCCCのeラーニング・プラットフォームが紹介されました。
小川専門家からは合計12回の広域研修のテーマや構成、これまで200人以上が参加した実績や習得された知識等の活用の例、プロジェクトの今後の展望が紹介されました。
レジェソグ氏からは、FSMの能力強化ニーズや過去の研修への参加経験を踏まえ、緑の気候基金等の気候変動資金へのアクセス改善に向けたPCCCによる研修機能への期待が述べられました。
参加者からは、eラーニング・プラットフォームの詳細、研修への参加方法、今後期待される支援等にかかる質問が挙げられ、活発な議論が行われました。

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地域対話の開会の様子

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スピーチを行う寺澤特命全権大使

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JICAプロジェクトの説明を行う小川専門家