プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト
(英)The Project for Capacity Building on Climate Resilience in the Pacific

対象国名

サモア

署名日(実施合意)

2018年12月20日

協力期間

2019年7月2日から2022年7月1日

相手国機関名

サモア政府財務省、サモア政府天然資源環境省、太平洋地域環境計画事務局(SPREP)

背景

気候変動の影響は、世界の様々な場所で、水環境・水資源、災害、自然生態系、食料、健康、経済等、複数の分野に現れる。今後、温暖化の程度が増大すると、深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響が生じる可能性が高まるといわれている。このため、温室効果ガス(Greenhouse Gas;以下、「GHG」という。)の排出の抑制等を行う「緩和」だけでなく、既に現れている影響や、中長期的に避けられない影響に対して「適応」を進めることが求められている。気候変動に伴う海面上昇・自然災害等に対して極めて脆弱である大洋州地域の島嶼国は、今後も気候変動に起因する災害の甚大化・頻発化が懸念される中、気候変動への適応力は低くリスクも多岐に渡っている。
大洋州地域の島嶼国は、強靭性・防災に着目した適応計画の見直しに必要な気候変動予測・影響評価のための能力の欠如、緑の気候基金(Green Climate Fund;以下、「GCF」という。)をはじめとする気候変動資金へのアクセス・対応能力の欠如といった課題に直面しており、気候変動対策の域内拠点の整備・人材育成を必要としている。
太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum;以下、「PIF」という。)で統合的な地域戦略として合意された「大洋州における強靭性開発枠組み(Framework for Resilient Development in the Pacific;以下、「FRDP」という。):気候変動と災害リスク管理のための統合的アプローチ(2017~2030年)」では、地域共通の優先課題を提示するとともに、各国で異なるニーズ対応の必要性にも留意し、人口、資源の規模が小さいことから開発のためのリソースが限定される島嶼国の状況に鑑み、個別対応のみならず地域のパートナーシップによる対策を重視し、効率的なリソース・資金の活用も提唱している。
サモア国家開発戦略(Strategy for the Development of Samoa;以下、「SDS」という。))2016/17-2019/20では、重点分野のひとつである環境政策において、環境保全、気候・災害対策計画と国家開発政策への主流化を掲げている。
本事業では、太平洋地域環境計画事務局(Secretariat of the Pacific Regional Environment Programme;以下、「SPREP」という。)と協力し、気候変動研修の拠点機能を持つことが予定され、日本の無償資金協力により建設された太平洋気候変動センター(Pacific Climate Change Center:以下、PCCCという。)において、大洋州諸国の気候変動分野関係省庁・機関を対象に研修を通じた能力強化を行うものである。これは、地域の気候変動に対する強靭性の向上に貢献するもので、当該地域の人材育成ニーズ、FRDP、SDSに整合した支援である。また、PCCCにおいて、上記FRDP策定の中心機関の一つであり、地域の気候変動対策と人材育成にかかる知見・実績を有している地域国際機関のSPREPと協力し、複数国にまたがる共通課題に対し広域アプローチの事業を行うことは、人口規模の小さい大洋州島嶼国に対し限られたリソースで複数国に裨益することから、効果的・効率的なアプローチである。

目標

上位目標

PCCCに研修機能が構築されることで、PCCCのビジョンの一つである大洋州地域の気候変動に対する強靭性が向上する。

プロジェクト目標

大洋州地域の気候変動(適応、資金アクセス、緩和)分野におけるPCCCの研修機能が構築される。

成果

成果1:「気候変動適応に係る定期的な研修プログラムがPCCCによって構築される。」
成果2:「気候ファイナンスへのアクセス向上に係る定期的な研修プログラムがPCCCによって構築される。」
成果3:「気候変動緩和に係る不定期な研修プログラムがPCCCによって構築される。」

活動

0-1.既存のリソース(気候変動分野の域内研修に係るツール、モジュール、資料および実績)をレビューする。
0-2.大洋州の他の気候変動研修に係る取り組みとの調整を行う。
0-3.本プロジェクトの成果・経験をPCCCが大洋州地域の気候変動研修(高等教育を除く)の拠点となるプロセスへ活用する。

成果1に係る活動

1-1.大洋州の対象国におけるニーズ評価を行う。
1-2.Regional Technical Support Mechanism(RTSM)および他のリソースを活用し適切な研修講師を特定する。
1-3.定期的な研修のための研修カリキュラム・教材を作成する。
1-4.大洋州地域の関連省庁・機関に対する研修を実施する。
1-5.研修結果を踏まえ研修カリキュラムを見直す。
1-6.対象国の一か国又は複数国に対してフォローアップ活動を実施する。

成果2に係る活動

2-1.大洋州の対象国におけるニーズ評価を行う。
2-2.Regional Technical Support Mechanism(RTSM)および他のリソースを活用し適切な研修講師を特定する。
2-3.定期的な研修のための研修カリキュラム・教材を作成する。
2-4.大洋州地域の関連省庁・機関に対する研修を実施する。
2-5.研修結果を踏まえ研修カリキュラムを見直す。
2-6.対象国の一か国又は複数国に対してフォローアップ活動を実施する。

成果3に係る活動

3-1.大洋州の対象国におけるニーズ評価を行う。
3-2.Regional Technical Support Mechanism(RTSM)および他のリソースを活用し適切な研修講師を特定する。
3-3.不定期な研修のための研修カリキュラム・教材を作成する。
3-4.大洋州地域の関連省庁・機関に対する研修を実施する。
3-5.研修結果を踏まえ研修カリキュラムを見直す。

投入

日本側投入

専門家派遣、研修員受け入れ、機材供与、プロジェクト運営費

相手国側投入

カウンターパートの配置、案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供