プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)沖縄連携によるサモア水道公社維持管理能力強化プロジェクト・フェーズ2
(英)Capacity Enhancement Project for Samoa Water Auhtority in Cooperation with Okinawa Phase 2

対象国名

サモア

署名日(実施合意)

2021年8月17日

協力期間

2021年10月21日から2025年1月20日

相手国機関名

(和)サモア水道公社
(英)Samoa Water Authority

背景

サモアは、首都アピアのあるウポル島とサバイイ島の主に2つの島から構成される島嶼国であり、サモア水道公社(SWA)が全国の水道事業を運営しています。首都アピアでは、漏水等による高い無収水率、未処理給水、浄水場の不適切な運転等の課題により、顧客満足度が低く、料金徴収率が上がらない等の悪循環が発生していました。これに対し、JICAは沖縄県内の自治体と連携し、草の根技術協力、課題別研修、技術協力プロジェクト、無償資金協力の複数のスキームを組み合わせたパッケージによる協力を実施してきました。特に、「沖縄連携によるサモア水道公社維持管理能力強化プロジェクト(CEPSO1)」(2014年~2019年)では、沖縄県企業局を中心に那覇市、石垣市、名護市、沖縄市、宮古島市、南部水道企業団の協力を得て、アラオア給水区において管路施工・漏水修理能力、配水管理能力、漏水探知能力、水質管理体制、浄水場運転管理能力の5分野に係るSWAの能力強化を実施しました。これら先行案件を通じた協力の結果、無収水率のモニタリングおよび効果的な無収水対策の実施体制が構築され、アピアの7つの浄水場では飲料水水質基準を100パーセント達成し、利用者の満足度が向上し、SWAの財務収支の改善が実現されました。しかし、SWAでは同国政府の交付金および開発パートナーからの協力がなければ営業収支は未だ赤字傾向にあり、無収水対策等の活動を他の給水区に広げ、有収水量と接続数の増加を図り、利用者の満足度を向上させ、料金徴収率の改善につなげることが課題となっています。
そこで、CEPSO1の後継となる本協力では、ウポル島フルアソウEU給水区およびサバイイ島パラウリ給水区を対象に、配水管理、漏水探知、管路施工・漏水修理、検針・料金徴収に関する能力向上及び内部研修体制の強化を行い、安全な水が安定的に供給される体制構築の実現を目指します。

目標

上位目標

サモア水道公社によって安全な水が安定的に供給される。

プロジェクト目標

フルアソウEU給水区とパラウリ給水区において安全な水が安定的に供給される体制が構築される。

成果

1.フルアソウEU給水区とパラウリ給水区における配水管理(配水量分析・水圧管理)能力が向上する。
2.フルアソウEU給水区とパラウリ給水区における漏水探知(物理的損失対策)能力が向上する。
3.フルアソウEU給水区とパラウリ給水区における管路施工・漏水修理(物理的損失対策)能力が向上する。
4.フルアソウEU給水区とパラウリ給水区における検針・料金請求(商業的損失対策)能力が向上する。
5.SWAにおける内部研修体制が整備される。

活動

1-1.両給水区における配水管理状況をレビューする(配水管網図の整備状況、流量計・減圧弁・バルブ等の設置状況、流量の測定・水圧管理状況等)
1-2.地方課およびサバイイ課の配水管理(配水量分析・水圧管理)能力に関する能力レベルを把握する。
1-3.水圧ベースライン調査を実施する。
1-4.配水管理に関する基礎研修(配水量分析、水圧管理、DMA設置等)を実施する。(成果5との連携)
1-5.両給水区における配水量分析(家庭内漏水および顧客管理台帳(Daffron(注1))の確認・更新を含む)を実施する。
1-6.両給水区における無収水削減計画を立案する。
1-7.必要に応じてDMAを設置する。
1-8.水収支と無収水率を毎月算定する。
1-9.水圧を定期的に測定する。
1-10.配水管理(配水量分析・水圧管理)に関するカウンターパートの能力レベルを定期的に確認し課題を抽出する。
(注1)SWAで活用されている顧客情報データベース)

2-1.両給水区における漏水探知(物理的損失対策)の活動状況をレビューする。
2-2.地方課およびサバイイ課の漏水探知能力に関する能力レベルを把握する。
2-3.CEPSO1で作成されたSOPをベースに漏水探知に関するSOPを改良・更新する。
2-4.OJTを通じて漏水探知(物理的損失対策)を実施する。(成果5との連携)
2-5.漏水探知(物理的損失対策)に関するカウンターパートの能力レベルを定期的に確認し課題を抽出する。
3-1.両給水区における管路施工・漏水修理(物理的損失対策)の実施状況をレビューする。
3-2.地方課およびサバイイ課の管路施工・漏水修理(物理的損失対策)の能力レベルを把握する。
3-3.CEPSO1で作成されたSOPをベースに管理施工・漏水修理のSOPを改良・更新する。
3-4.OJTを通じて、管路施工・漏水修理を実施する。(成果5との連携)
3-5.配管更新・修理情報、検針メーター設置の情報を資産管理班に報告し、MapInfo(注2)(管路GIS)を更新する。
3-6.管路施工・漏水修理(物理的損失対策)に関するカウンターパートの能力レベルを定期的に確認し課題を抽出する。
(注2)SWAで活用されている管路GIS)

4-1.両給水区における検針・料金請求(商業的損失対策)の人員体制および実施状況をレビューする。
4-2.地方課およびサバイイ課の検針・料金請求(商業的損失対策)の能力レベルを把握する。
4-3.CEPSO1で改訂されたSOPをベースに検針・料金請求のSOPを改良・更新する。
4-4.活動1-6で立案した無収水削減計画に基づいて、商業的損失対策に関する活動を実施する。(成果5との連携)
4-5.検針・料金請求(商業的損失対策)に関するカウンターパートの能力レベルを定期的に確認し課題を抽出する。

5-1.CEPSO1のカウンターパート、人材育成班職員で構成される研修タスクチームを形成する。
5-2.SWAの水道サービス向上のために必要な研修ニーズを特定し、職員研修の全体体系図(注3)(研修のあるべき姿の特定)を策定する。
5-3.無収水対策、水質、浄水場運転管理分野の研修カリキュラムを策定する。5S(注4)/カイゼン、検品等ニーズの高い分野について更に2分野を特定し、その研修カリキュラムを策定する。
5-4.人材育成管理班の職員向けの内部研修監理マニュアルを作成し、必要に応じて人材育成管理班を対象とした研修を実施する。
5-5.成果1、成果2、成果3、成果4で実施する活動と連携して研修実施スケジュールを策定する。
5-6.研修タスクチームメンバーに対して、講師育成研修(Training of Trainers:TOT)を実施する。
5-7.研修教材を整理する(成果1、成果2、成果3、成果4との連携)
5-8.研修効果を測定する方法を検討し、研修プログラムで試行する。
5-9.活動5-3と活動5-5で特定した研修カリキュラムとスケジュールに沿って研修を実施する。
5-10.実施した研修の結果をレビューする。
5-11.次の研修計画にフィードバックし、研修計画・内容を改善する。
(注3)研修の全体体系図とは、SWA職員(可能なら職員の階層やレベルごと)が受講すべき研修のトピックスや分野の大枠で示したものである。
(注4)5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾を指す。

投入

日本側投入

1)専門家派遣

長期専門家:チーフアドバイザー/人材育成、研修マネジメント/業務調整、
短期専門家:無収水管理/配水量分析/商業的損失対策、水量測定・水圧管理、漏水探知、管路施工/漏水修理、GIS/管路図、水質分析、浄水場運転管理

2)研修員受け入れ

本邦研修(年間4人程度x3回)

3)機材供与

漏水調査機器一式(ポータブル式超音波流量計、金属探知器、音聴棒、電子音聴器、漏水探知器、ボーリングバー、データロガー等)
テストメーター等

相手国側投入

1)カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター

サモア水道公社(Samoa Water Authority:SWA)総裁

プロジェクトマネージャー

・地方課マネージャー(リーダー)(Rural Operations Division, Manager)
・サバイイ課マネージャー(Savaii Operations Division, Manager)
・市街課マネージャー(Urban Operations Division, Manager)
・技術課マネージャー(Technical Project Coordination & Asset Management Division, Manager)
・商業課マネージャー(Commercial Division, Manager)
・企業管理課マネージャー(Corporate Management Division, Manager)

成果レベルのカウンターパート

・地方課、サバイイ課、市街課、技術課(水質班、資産管理班)、商業課(請求班、未収金回収班)、企業管理課(人材管理班)
・研修タスクチーム

2)その他

プロジェクト実施のためのサービスや施設の提供、現地活動費、カウンターパートの人件費および国内移動にかかる旅費等