セルビア国ベオグラード市とドイツ国ハンブルク市の共同オンラインセッションを開催しました

2021年10月1日

ベオグラード市公共交通改善プロジェクト(以下、本プロジェクト)では、ドイツ・ハンブルク市における第三国研修を実施する予定です。ハンブルク市現地での研修は新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を受け時期を調整しているところですが、それに先立ち、ベオグラード市における公共交通の早期の運営改善と現地研修における理解をより深めることを目的として、9月30日にハンブルク市と共同でオンラインセッション(以下、本セッション)を開催しました。

参加機関

・ベオグラード市:Secretariat for Public Transport(以下、SfPT)
・ハンブルク市:Hafen-Dampfschifffahrt AG Sea-tourism and Ferry service(以下、HADAG))
Hamburger Hochbahn AG(以下、HHA))
・日本側:JICA及びJICAプロジェクトチーム

【画像】図1:本セッションのスクリーンショット

オンラインセッションの概要

本プロジェクトの概要紹介に加えて、両市の公共交通運営に関する課題や今後の取り組みについて情報共有を行いました。

ハンブルク都市圏公共交通の状況

・ハンブルク都市圏(ハンブルク市、シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州(以下、SH州)の4郡及び、ニーダーザクセン州(以下、NI州)の3郡から成る都市圏)では、1967年から共通運賃制度の先駆けとして、ハンブルク運輸連合(Hamburger Verkehrsverbund(以下、HVV))による域内共通運賃制度に基づいた公共交通運営が行われています。統一された料金体系と乗車券種、統制された運行ダイヤの導入等の取り組みにより、運行の効率性だけでなく、利用者の利便性を大きく向上させました。
・HVVは、ハンブルク都市圏を構成する自治体と交通事業者との間に図2及び図3に示すような関係を持ち、加盟運行事業者が運用する近郊鉄道、都心地下鉄、路線バス、フェリーなどの種々の公共交通機関を包括的に運営・管理しています。

【画像】図2:自治体・HVV・交通事業者間の役割分担及び契約関係(出典:HVV)
図3:HVVに関わる資金の流れ(出典:HVV及び日本都市センター資料)

・さらに、HVVは将来的な目標として、1.ICTを用いたマルチモーダル化と2.温室効果ガスのゼロエミッションを掲げています。具体的には、ナビゲーションアプリ“hvv switch”と交通シェアリングサービスを既存の公共交通と組み合わせることにより、利用者の出発地から目的地までの移動だけでなく、経路検索・予約・決済も含めて一つのサービス(MaaS)としての提供に取り組んでいます。また、交通セクターにおけるゼロエミッションを実現すべく、運行車両の電気車両や水素車両への移行も推進しています。

上記のとおり、オンラインセッションでは、ベオグラード市における公共交通運営を改善していくために今後検討すべき施策について、ハンブルク都市圏における取り組みから多くのヒントを得ました。今後は、第三国研修を通じてより詳細なヒアリングや現場視察を重ね、得られた知見をベオグラード市の公共交通運営の向上に向けて反映させるべく、活動を続けていきます。
なお、本プロジェクトでは、第三国研修は、ハンブルク市のほか、欧州域内3都市で行う予定です。