プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ベオグラード市公共交通改善プロジェクト
(英)Project for Modernization of Public Urban Transport in the City of Belgrade

対象国名

セルビア共和国

署名日(実施合意)

2020年8月7日

プロジェクトサイト

ベオグラード市

協力期間

2020年11月13日から2023年11月10日

相手国機関名

(和)ベオグラード市公共交通部
(英)The City of Belgrade, Secretariat for Public Transport(以下、SfPT)

背景

ベオグラード市は人口約175万人を有するセルビア共和国の首都であり、行政、文化、教育、社会経済活動の中心でもある。同市の交通機関分担率は、公共交通機関(47.9%)、自家用車(25.7%)、徒歩(23.8%)となっており、公共交通機関の約80%を占めるバス・トラム・トロリーバスが市民の移動手段の要となっているが、主に地方部及び他国からの移住に伴う都市部の拡大と人口増加に交通・路線計画の整備や更新が追い付いていない。

ベオグラード市のバス・トラム・トロリーバスによる公共交通サービス供給は、1)輸送計画策定・事業者の監督等を担うSfPTと2)複数の運行事業者、3)市から料金収受に関するシステム運営等の委託を受ける料金システム事業者の3者によって行われており、SfPTが公共交通の運行に係る大半の業務とその責任を担っているのが特色である。ベオグラード市の公共交通の課題として下記の3点が挙げられる。

課題1)

公共交通の運行計画が実際の需要に必ずしも合致していない。SfPTは公共交通の運行管理者として運行計画を事業者に提示しているが、各路線の乗降客数等の基礎データの収集が不十分な中で策定されている。十分な統計データに基づく運行計画の策定とサービス水準の妥当性の検証、運行路線及びダイヤの効率化が課題である。

課題2)

運行事業者の収入は市からのアベイラビリティペイメントに依存する構造となっており、事業者自身で運営改善のための資金を調達できていない。一方、SfPTでは日々の運行管理・計画に加え、各事業者への支払額査定のための運行モニタリングの負担も増大している。市公共交通部の運行コストは抑制しつつ、運行事業者のパフォーマンスの向上に向けたインセンティブを持つ仕組みの構築が必要である。

課題3)

運賃収受が低く、運行事業者へ支払うべき費用を含む交通セクターの支出は運賃収受ではほとんど回収できておらず、残りは市の一般財源により補填され財政逼迫の大きな要因になっている。これは市の財政を圧迫し、公共交通システムの持続性が強く懸念されている。

ベオグラード市は、環境保全を市の重点課題の一つとして掲げ、公共交通分野においても新しい電気バスを導入する等、環境に優しい公共交通システムへの移行を選好しているが、そのための財源確保がなされない限り、抜本的な課題解決は困難な状況にある。以上を踏まえ、本事業は、ベオグラード市公共交通部の公共交通運営能力の改善を支援し、もって同市における環境に優しい公共交通システムの構築促進がなされることを目的として実施するものである。

(注)本事業は、公共交通の整備を通じて持続可能な都市の実現に資するとともに、人々の生活の質の向上に資するものであることから、SDGsゴール11「包摂的、安全、強靭で、持続可能な都市と人間住居の構築」に合致する。

目標

上位目標

ベオグラード市の持続可能な環境配慮型公共交通システムが強化される。

プロジェクト目標

ベオグラード市の公共交通運営能力が改善する。

成果

1.市公共交通部の戦略策定及び計画能力が強化される。
2.市公共交通部の運行事業者を監督する能力が向上する。
3.市公共交通部の運賃収受確保のための計画立案能力が向上する。

活動

1.市公共交通部の計画能⼒強化

1-1.主要な路線において交通需要調査を実施し、需要の実態を分析する。
1-2.調査結果に基づいたバス、トラム、トロリーバスの適切な路線・運行計画を策定する。
1-3.バス、トラム、トロリーバス以外を含むインターモダリティを高める統合公共交通ネットワークを提案する。
1-4.市公共交通部と事業者の役割分担のモデルを検討する。
1-5.バス、トラム、トロリーバスの運行管理の改善策を提案する。
1-6.1-1~1-5で定めた運行管理改善、運行計画や路線計画策定のための改善策の一部をパイロットとして実施する。

2.市公共交通部の運⾏事業者監督能⼒の向上

2-1.アベイラビリティペイメントの実態を見直し、新たな査定方法を検討する。
2-2.運行状況のモニタリング方法の改善を検討し、必要な運行管理システムの基本仕様を策定する。

3.運賃収受確保のための計画立案能力の向上

3-1.運賃収受方法の現状を調査し、運賃収受率改善のための問題と課題を特定する。
3-2.無賃乗車減少のための改善計画を策定する。
3-3.サービスレベル、利便性向上のための計画を策定する。
3-4.3-2、3-3で定めた施策の一部についてデモプロジェクトを行う。
3-5.運賃を支払うことの重要性を啓発する広報活動を実施する。

投入

日本側投入

短期専門家11名

総括1、副総括1、公共交通計画1、運行管理/事業者管理1、運賃収受1、ICTシステム1、パイロットプロジェクト1、交通調査/データベース/需要予測1、需要予測1、経済・財務分析1、モニタリング/評価/広報活動1

研修員受入

カウンターパートの本邦及び第三国研修

相手国側投入

カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー等

施設・機材

プロジェクト実施に必要なスペースの提供

プロジェクトにかかわる現地経費

プロジェクト実施に必要な支出(カウンターパートの人材に係る手当他)、プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信費等)