プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)インクルーシブ教育アプローチを通じた特別なニーズのある子どもの教育強化プロジェクト
(英)The Project for Strengthening Education for Children with Special Needs through Inclusive Education Approach in Sri Lanka

対象国名

スリランカ

署名日(実施合意)

2017年11月23日

プロジェクトサイト

スリランカ国コロンボ県およびクルネガラ県

協力期間

2019年3月18日から2022年3月17日

相手国機関名

(和)スリランカ国教育省
(英)Ministry of Education

背景

スリランカ国(以下「ス」国)の初等教育は、純就学率99%(2015年)、修了率98%(2006年)、またジェンダー格差もほとんどなく、南アジア地域で最も高い教育水準を誇る一方で、不就学児童(Out-of-School Children)は約16,000人(2015年)存在し、SDGsの目標である、初等教育の完全普及およびその修了のためには依然課題を残している。
不就学児等の一部を占める障害のある子どもに着目すると、現在26校の特別学校(Special School;盲学校、聾学校、知的障害児向けの特別学校などがある)と704教室の特別教育ユニット(Special Education Unit;通常の学校内に設置されている障害児のための学級)を通じて合計10,056人(2016年)の障害児に教育を提供している。また通常の学級にも99,024人(全就学年齢児童の2.37%)(2003年)の障害のある子どもが在籍しており就学の機会は増えつつある。しかしながら、学校に通っている障害のある子どもの多くは、軽度の知的障害、発達障害、自閉症などを有する子どもが多く、肢体不自由や重度重複障害の子どもたちに対しては種々の理由から学校へのアクセスが制限されている。また、これら障害のある子どもの教育に携わる教員の多くは、十分な専門知識を有しておらず、実践的な指導スキルを学ぶ機会がないことが課題となっている。より多くの障害のある子どもがそれぞれの生活する地域で適切な教育を受けられるようになるためには、特別教育ユニット教員の指導能力の向上や、通常の学級を含む全教員の障害児に対する理解の促進が求められている。
こうした経緯のもと、「ス」国は特別なニーズのある子どものためのインクルーシブ教育強化のための、技術協力プロジェクトの実施を我が国に対し要請してきた。

目標

上位目標

特別なニーズのある子どものためのインクルーシブ教育アプローチが全国に普及する

プロジェクト目標

特別なニーズのある子どものためのインクルーシブ教育アプローチが開発される

成果

1.パイロット県において、特別なニーズのある子どもの就学支援体制が構築される
2.パイロット校の教員の子どもの教育的ニーズに合った指導能力が向上する
3.蓄積されたインクルーシブ教育アプローチのグッド・プラクティス実践例が主に教員に参照される

活動

成果1に関する活動:就学支援体制の構築

1-1.ベースライン調査の結果に基づいてパイロット校を選定する
1-2.特別なニーズのある子どもの就学委員会のメンバー・活動内容を決定する
1-3.就学支援委員会を開催する
1-4.就学支援委員会、パイロット校、MOE等に対し、基礎的環境整備に関する研修を実施する
1-5.パイロット校の保護者に対する啓発研修を実施する
1-6.就学支援委員会の運営及び学校の施設設備に関するガイドライン(案)を作成する

成果2に関する活動:教員の指導能力向上

2-1.パイロット校における特別なニーズのある子どもの学習状況を明らかにする
2-2.特別なニーズのある子どもの指導教材を作成する
2-3.パイロット校の校長・教員に対しインクルーシブ教育アプローチに関する研修を実施する
2-4.パイロット校がインクルーシブ教育アプローチを用いた学校教育計画を作成するよう支援する
2-5.インクルーシブ教育アプローチに係る活動を記したガイドライン(案)を作成する

成果3に関する活動:実践事例の蓄積・運用

3-1.事例収集に係るフォーマットを作成する
3-2.パイロット県の指導主事に対してインクルーシブ教育アプローチ実践状況のモニタリング研修を実施する
3-3.インクルーシブ教育アプローチの実践事例を収集する
3-4.インクルーシブ教育アプローチの実践事例集案を作成する
3-5.プロジェクトの経験を全国に共有するための普及計画を作成する
3-6.プロジェクトの経験を共有するための全国セミナーを実施する

投入

日本側投入

1.専門家派遣
2.本邦研修(特別なニーズのある子どもの教育に関する研修)
3.機材
4.在外事業強化費
5.プロジェクトオフィス(地方部)

相手国側投入

1.カウンターパートの配置:

・プロジェクトディレクター、プロジェクトマネージャー等
・プロジェクトチームメンバー

2.運営コスト

・研修参加者の交通費
・ガイドライン・教材の印刷費
・本邦研修に係る必要経費

3.施設機材

・研修会場
・JICA専門家用執務スペース