プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)都市開発計画能力強化プロジェクト
(英)Project on Capacity Development for Urban Planning

対象国名

スリランカ

署名日(実施合意)

2021年11月11日

協力期間

2022年3月5日から2025年3月4日

相手国機関名

(和)都市開発庁
(英)Urban Development Authority(UDA)

背景

スリランカの都市開発庁(Urban Development Authority、以下「UDA」という。)は、スリランカ国内の「指定都市開発地域」(計268地域)にかかる都市計画の策定と実施促進のため、同国の都市開発庁法に基づき設立された都市計画にかかる最高責任機関である。UDAが定める戦略計画(「UDA Strategic Plan 2018-2022」)では、国内の計画的で持続的な都市化の実現のため、戦略期間内に全ての指定都市開発地域の計画策定を了することが目指されているが、2021年現在、その進捗は遅れを見せており、今後一層の取り組みの迅速化が求められている。
また、上記戦略計画では「都市計画策定手法の近代化(Use of Modern Methods and the State of the Art Technology for the preparation of Development Plans)」の方針が打ち出されているが、現状UDAの計画策定にかかる各種技能は低い水準に留まり、データ収集や分析に課題があるため、計画策定に遅れをもたらす一因となっている。
UDAは都市計画の策定にあたり、10段階の戦略的計画策定アプローチ(Strategic Planning Approach)を定め、各指定都市地域を管轄するUDAの地方事務所が同アプローチに基づき計画の策定ととりまとめを行っている。また、特に計画規模の大きい24市(municipal council)については、UDA本部が技術的な支援やデータ提供、ステークホルダーとの合意形成支援等を行うことが定められているが、UDA本部においてもその経験が不足しており、期待されるような地方事務所への支援は提供されていない。その結果、UDAが策定する都市計画の多くは、データ予測性に乏しく、ステークホルダーとの合意形成が形式的となる傾向にあり、品質面での課題を多く有する。

かかる状況を踏まえ、UDAは、職員の技能レベルの向上、本部から地方事務所等への支援体制強化、計画策定プロセスの改善を通じて、より高品質で効率的な都市計画の策定を推進するための能力強化支援を、我が国に要請した。同要請と時を同じくして、UDAは上記の機能をUDA本部に集約するため、本部9つの課、計30名の職員から成る「アーバン・リサーチセンター」(Urban Research Center、以下「URC」という。)を本部戦略計画課の下に設置する構想を立て、運営開始に向けた準備を進めている。本事業は、このURC設置構想を踏まえ、URCの能力強化支援を通じ、UDA全体への成果波及を目指す。

目標

上位目標

Urban Research Center(URC)の効果的な運営を通じ、UDAによる高品質な都市計画が策定される。

プロジェクト目標

Urban Research Centerの能力強化を通じて、UDAの都市計画策定におけるICT技術の活用、ステークホルダーとの合意形成及びデータの利活用が促進される。

成果

1.URC職員がICT技術を用いた都市計画手法を習得する
2.ToT(Training of Trainers:指導員訓練)を通じて、URC職員がUDAの内部研修を実施するための能力が強化される
3.ステークホルダーとの効果的な合意形成が促進されるよう、UDAの既存の都市計画策定プロセスが改善される
4.URCのデータ共有機能が改善し、URCがUDAにおけるICT技術の活用を牽引するための能力が強化される

活動

1-1.URC職員を中心とする能力・ニーズ調査を実施する
1-2.主要な都市計画手法にかかる研修計画とモジュールが策定される
1-3.計画策定に必要となる基礎的なソフトウェアと機材が整備される
1-4.URC職員を対象とする研修を実施する

2-1.内部研修について、都市計画手法毎にURC職員が担うものと外部人材に委託するものに分類する
2-2.URC職員が担う研修について、ToT研修を実施する
2-3.URC職員による内部研修を実施する
2-4.外部の組織・人材との現状の連携体制をレビューする
2-5.外部の組織・人材との効果的な連携戦略を策定する
2-6.内部研修計画(案)を策定する(URC職員及び外部人材を講師とする)
2-7.内部研修用の研修教材を作成する

3-1.UDAが運用するステークホルダーとの既存の合意形成プロセスをレビューする
3-2.新規導入すべき合意形成プロセスを協議し選定する
3-3.新規導入する合意形成プロセスについてマニュアル(案)を作成する

4-1.UDAのコンセプト・ペーパーに基づきURCの役割と機能を精緻化した基本説明文書(案)を作成する
4-2.成果1および3で習得された都市計画手法や合意形成プロセス等を実践するためのパイロット事業が選定・実施される
4-3.成果1の研修で習得した都市計画手法を開発計画や詳細計画の策定にかかるパイロット事業で実践する
4-4.データベースの機能とルールについて協議し文書化する
4-5.データベースを設置し運用を開始する
4-6.パイロット事業からの教訓を踏まえ、都市計画策定にかかる既存のマニュアルやプロセスの見直しを行う
4-7.URC運営や習得した技術の活用に必要となるライセンスや予算等についてリストを作成する

投入

日本側投入

1.専門家派遣(合計約43M/M)

a.業務主任者/都市開発/能力強化
b.都市計画
c.環境解析/エコシステム/防災
d.建築/都市デザイン
e.土地利用/GIS
f.参加型開発/環境社会配慮
g.先端技術(2D/3D/DX)
h.都市計画データベース整備
i.組織強化

2.機材供与

ソフトウェア、PC、ワークステーション、データ共有サーバー等

相手国側投入

1.カウンターパートの配置(Urban Research Centerの設置)
2.本事業実施のためのサービスや施設、現地経費の提供