モロッコでの第3国研修の実施

2016年11月30日

モロッコは、1990年代初頭に14%程度だった地方部の給水率をわずか10数年の間に90%以上に向上させました。乾燥した国土や急峻な山岳地帯を有し、スーダン以上に水資源に困窮したモロッコですが、政府や国際機関、住民組織が一体となり、短期間で飛躍を遂げました。

乾燥する国土やアクセスが困難な地方給水地域といった、スーダンと共通の課題がありながら、成功を遂げたモロッコの事例を学ぶことを目的として、JICAの給水関連プロジェクトでは、2012年より延べ51名の研修生を派遣しています。今回の研修には、ダルフール各SWCより地方給水局マネージャークラス4名が参加しました。

研修は、モロッコの中でも特に水資源が乏しいに係らず発展が著しい、Sus-Massa-Dara流域の中心都市Agadir市で、2016年11月12日から20日の期間で実施されました。その主な内容は、「モロッコの給水事業への取り組み」、「節水を中心とした流域水資源管理」、「浄水場施設訪問」や、「地方給水地域における運営維持管理」です。

その中でも、とりわけ研修生が関心を寄せていたのは「地方給水地域における運営維持管理」でした。モロッコの政府給水事業体であるONEE(国営電力・水道公社)が詳細な調査を実施した上で、持続可能な給水施設を地方部に建設し、その後水委員会を中心とした住民組織が適切に運営維持管理する現状に感銘を受けたようです。地域住民とも積極的に会話を重ねることで、スーダンとモロッコのギャップの根幹は何か?についてスーダン人研修生のみならず日本人も考えることができる非常に良い機会であった思います。研修後に毎日実施された研修生の定例ミーティングは、予定の30分を大幅に超えて連日夜遅くまで行われました。その主なテーマはスーダンとモロッコのギャップを理解し今後どのように給水事業の改善を図っていくかについてでした。このテーマに対して、研修生達は多くの議論を交わしました。

モロッコでたくさんの刺激を受けて帰国したスーダン人研修生たちは、今後は研修成果をアクションプランに落とし込み、それを実施していかなくてはなりません。絵に描いた餅ではなく、既存リソースを活用した上で出来ることから始めることがキーポイントとなりました。スーダンの人は議論を好みその時は非常に白熱するのですが、なかなか実施には至らないことが多々あります。熱しやすく冷めやすい彼らを、冷めないうちに実施へと導くのもSMAPIIプロジェクトの重要な役割の一つです。

最後になりましたが、モロッコの研修受け入れ機関であったONEEとスース・マサ・ダーラ流域管理事務所(ABHSMD)の多大な協力とホスピタリティーのおかげで、短期間にもかかわらず非常に充実した研修になりました。両機関には謹んでお礼を申し上げます。

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給水施設の運営・維持管理の説明

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住民組織による施設運営のプレゼンテーション

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合同集合写真(ABHSMD:アガディール)

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モロッコ研修機関主催の夕食会