日本での研修−第1回本邦研修−

2017年8月31日

2017年1月25日から2月25日にかけて、スーダンのプロジェクト関係者を対象とした研修が沖縄と東京で行われました。

JICA沖縄と沖縄県看護協会が実施した「プライマリーヘルスケア拡大支援のための母子保健・保健行政強化」研修には、スーダン連邦保健省と、プロジェクトの対象地域である、ゲジラ州、カッサラ州、ハルツーム州の3つの州保健省から合計13名が参加しました。研修員たちは、講義と、県内の那覇市や伊是名島で行われている様々な活動の視察を通して、多くのことを学びました。

研修員たちはまず、日本と沖縄の保健医療の概要について学びました。日本では、国の定めた政策・ガイドラインに沿いつつ、県や市町村が地元のニーズを踏まえた保健事業の計画・実施を担っていることに、研修員たちは感心していました。また、離島が多く、アクセスの困難な地域を多く抱える沖縄県特有の、保健医療人材の配置制度(駐在保健師)や離島診療所の果たす役割を学べたことは、人口が点在し、また雨季には道路が寸断され陸の孤島となる地域も多々ある中、限られた人材によって保健サービスを国民に届けることにいつも苦労しているスーダン保健省の人たちにとって、良い学びとなりました。

また、研修員たちの中でも最も感銘を受けたという声が大きかったのは、母子保健推進員という、民間の保健ボランティアの方たちの存在と活動です。行政の実施する乳児健診などの保健事業の実施をサポートし、行政機関と連携しながら地元の人たちの健康のために活動している様子、また、ボランティア活動を自らの意思で続けている様子は、スーダンの人たちにとっては良い意味での驚きであり、果たしてこのような積極的な意欲溢れるボランティアを、自分たちの国ではどう養成していったらよいか、今でも頭を悩ませつつ、プロジェクトの日本人メンバーと共に試行錯誤しています。

これら沖縄で学んだことをどうスーダンに活かせるのか、研修員たちは熱心な議論を行いました。スーダンと日本では、気候や文化、保健医療システムなどが違いますが、医療従事者や保健ボランティアが住民の健康を守るために努力し、さまざまな工夫をこらさねばならないという点では違いはありません。沖縄での学びをスーダンの健康改善に結びつけるため、また、自らの今後の業務に活かすため、研修員がそれぞれの立場で今後の行動計画を策定しました。プロジェクトの日本人メンバーもこの議論に参加し、日本とスーダンの共通点や解決すべき課題の整理など、沖縄とスーダンの橋渡し的な役割をもって、行動計画策定に繋がる議論やワークセッションを支援しました。

今回の研修を通し、沖縄のこと、日本のことを多く学んで帰ってきた参加者たちは、研修前より積極的にプロジェクトの活動に参加するようになり、各州で推進役を担っています。帰国後も、機会を捉えて沖縄での学びを周りの同僚や部下たちに伝えようとする参加者もいて、心強い限りです。

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研修の学びをプロジェクト活動に活かすためのワークセッションを支援する日本人専門家2名。

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母子保健推進員の活動を視察する研修員たち。人型モデルを用いた乳児ケア体験の様子。

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日本大使公邸に招待され、伊藤秀樹駐スーダン大使に研修からの学びを報告する研修員。