帰還移民支援(ミニファイナンス)活動報告(2)

2021年12月20日

クリャブ郡での女性起業家支援

本プロジェクト(BIP)では、パイロット事業として、新型コロナウィルスの影響により、ロシアなど出稼ぎ先の国から戻ることを余儀なくされた帰還移民のビジネス活動を支援する「ミニファイナンス」事業(詳細は2021年10月8日付プロジェクトニュースを参照)を実施しています。プロジェクトでは、希望者に対して「ビジネスの基礎」研修を提供し、2021年12月末の時点では、合計255名の帰還移民に対して研修を行いました。このたび、ハトロン州クリャブ郡でも同事業を開始しました。クリャブ郡はタジキスタンの中でもイスラム教の伝統に基づく保守的な地域として知られており、男女同席の研修に参加することができない女性が多くいるため、女性のトレーナーを育成し、女性のみのグループへの研修を実施しています。

参加者のひとり、フィルーザさんは「研修への参加の決め手は女性だけで学べる環境があったこと、トレーナーやコーディネーターも女性であったことです。女性だけのグループであったとしても、トレーナーが男性だと、義母や家族から参加の了解が得られなかったと思います」と話していました。

参加者の女性の多くはロシアへ出稼ぎに行き、飲食店などのサービス業で働いていましたが、若い時から家庭などで裁縫の技術を身につけており、彼女たちの多くが裁縫店の起業を目指しています。伝統的な慣習を残すクリャブ郡では特に、女性は日常的にタジキスタンの民族衣装を身に着けており、これらはオーダーメイドで作られるため、財務などの基礎的な知識を身に着けた裁縫店がビジネスとして成功する可能性はあります。一方で、研修で学んだ「商品やサービスの差別化」を実践し、従来のものだけでない新しい商品開発をしていく起業家が出てくることをプロジェクトとしては期待しており、今後のモニタリング活動の中で変化や成長が見られればと考えています。

BIPではこれからも地域の文化や伝統を尊重しながら、より多くの人がビジネスの基礎を学べる場を提供し、起業につなげられるよう引き続き活動をしていきます。

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