国連気候変動枠組条約第50回補助機関会合(SB50、ボン)でサイドイベントを開催

2019年10月13日

2019年6月20日(木)、プロジェクトは昨年のCOP24カトビツェ会合に続き、UNFCCC補助機関会合において「NDC実施のための東南アジア地域対話~JCMの促進、能力ギャップの特定と地域プラットフォームの役割について~」をUNFCCCのオフィシャルサイドイベントとして開催した(ONEP(タイ天然資源環境省天然資源環境政策計画局)-TGO(タイ温室効果ガス管理機構)-日本環境省-OECC(海外環境協力センター)-JICA共催)。

【画像】Photo by IISD/ENB | Kiara Worth

冒頭、国連アジア太平洋経済社会委員会(UN-ESCAP)、タイONEP、ベトナム天然資源環境省(MONRE)、ラオス天然資源環境省(MONRE)、TGO、日本環境省より国毎の約束(NDC)実施のための能力強化の現況とJCM(二国間クレジット制度)の各国の実施状況について発表・アップデートが行われた。続く地域対話では、モデレーターが提起した論点を軸に意見交換が行われた。概要は以下の通り。
・論点1:ASEANでのNDC実施に向けた能力ギャップの所在とそれらを埋める措置に関して、ESCAPは対策を発揮させるための各国のレディネスの強化、中央官庁から実事業に至る縦の実施体制(vertical implementation)の確立の強化が指摘された。TGOは能力強化活動が確実にインパクトに結び付くためのResults-basedな評価枠組みの必要性を強調した。
・論点2:各国共通課題として見られる国家レベルMRV/透明性体制の構築と、民間を含むノンステートアクターの巻き込みの各国状況について、データ収集・共有がMRVのボトルネックとなり、国内専門家の育成が重要であること(ラオス)、途上国の緩和行動が2020年以前・以後で性質が任意からコミットメントへと変遷する中で目標達成に向けた民間参入は不可欠だがインセンティブが課題として残ること(ベトナム)、また異なる階層での人材育成の必要性(タイ)といった見解が聞かれた。
・論点3:各国NDCあるいは現在策定が進む各国気候変動国内法制度における炭素市場アプローチ・炭素クレジットの位置づけ・扱いについては、いずれの国も6条交渉の帰結がない中、具体的手法は検討中としながらも、ベトナムは国内炭素市場の構築、タイは国内排出量取引を志向する旨発言が見られた。
・また日本環境省からは、JCMがNDC実施のツールとなりうること、またタイにおけるチラー、ベトナムのアモルファス変圧器の導入を例に、制度が技術導入を橋渡ししている点が強調された。

開会挨拶:
ナタニート・アスヴァプースィクル タイ天然資源環境省・環境政策計画局ディレクター

1.ASEAN各国発表
(全体進行:加藤真 海外環境協力センター)

発表内容 発表者・登壇者
ASEANによるパリ協定達成の実施手段としての能力強化の重要性

ステファノス・フォティオ
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)環境開発部ディレクター

ASEAN地域を対象とした能力強化ニーズ評価の暫定結果について

タワチャイ・サエンカムスック
タイ温室効果ガス管理機構(TGO)能力開発・啓発局ディレクター

JCMの最新動向と今後展望

宇賀まい子
日本環境省・市場メカニズム室

ラオスのNDC実施に向けた準備状況、協力、課題とニーズおよびJCMの進捗

ダオヴィン・スホンファクディ
ラオス天然資源環境省気候変動推進・管理課局次長

ベトナムのNDC実施に向けた準備状況、協力、課題とニーズおよびJCMの進捗

ファン・ヴァン・タン
ベトナム天然資源環境省気候変動局・局次長

タイのNDC実施に向けた準備状況、協力、課題とニーズ

チャヌットサクル・スピラック
タイ天然資源環境省・環境政策計画局

タイにおけるJCMの進捗と課題

パウィーナ・パニチャヤピシェット
タイ温室効果ガス管理機構(TGO)モニタリング課マネージャー

2.パネルディスカッション
(モデレーター:福田幸司JICA技術協力プロジェクト「東南アジア地域低炭素・レジリエントな社会構築推進能力強化事業」チーフアドバイザー)

【設問・論点】
1.NDCの実施に関する優先的ニーズと各国が直面するギャップは何か。
2.JCMの教訓と課題は何か。ポートフォリオ拡大に向けた方策は。
3.ASEAN諸国の能力ギャップ・ニーズの評価はどうあるべきか。
4.能力強化を促進させる地域協力はどう強化されるべきか。また地域プラットフォームはどう持続展開されるべきか。