ASEAN研修「気候変動と持続可能な開発」の開催

2019年10月16日

2019年8月7日から同9日にかけての3日間、プロジェクトはタイ天然資源環境省環境政策計画局(ONEP)を含む共催の下、タイ温室効果ガス管理機構(TGO)が運営する気候変動国際研修センター(CITC)を通じて、東南アジア諸国の気候変動担当行政官を主な対象とした「気候変動と持続可能な開発」を実施した。ASEAN加盟国のうち全10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)から、計46名が参加した。

本研修では、先ず2018年に合意したパリ協定のルールブックの要件に照らして、東南アジア諸国に求められる対応について、タイを含むASEAN諸国から招いた講師より最新の知見が共有された。その後、パリ協定の実施に際して、特に国別目標(Nationally Determined Contribution;NDCという)の改訂ならびに隔年透明性報告書(Biennial Transparency Report;BTRという)の作成において各国が抱える課題を特定し、解決のために必要な能力強化活動と、民間セクターを含む多様なステークホルダーとの協働による方策をグループワーク形式で議論した。

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グループワークの様子

また、欧州を中心に取り組みが進められている「循環経済(サーキュラーエコノミー)」のテーマに焦点を当てた学習・討議が行われた。この学習は、各国が取り組む既存の経済社会施策、環境政策がサーキュラーエコノミーの一部を担っていると同時に、真の資源循環の達成には更なる革新的取組が必要であること、またこれら対策が結果として気候変動緩和にも資することへの気づきを研修参加者に与えた。研修最終日には、タイ企業のサイアムセメントグループ(SCG)が運営する建築資材の販売所兼展示場を訪問し、企業が如何に資源循環をビジネス化させ、また企業の成長戦略に組み込んでいるかについて学んだ。

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企業訪問の様子

気候変動分野は国内外の議論の推移が早く、今回取り扱ったサーキュラーエコノミー等の最新の潮流を時宜にかなった形で的確に捕捉し、ASEAN諸国へ還元していくことが地域プラットフォームに期待される重要な役割の一つである。プロジェクトは、CITCがこうした地域プラットフォームの役割を果たすうえで必要な能力を強化するとともに、タイ国内及びASEAN諸国における気候変動対策取組の実現促進に継続的に貢献していくことが出来るように支援を行っている。