ASEAN研修「気候変動適応策」の開催-気候変動適応計画と実施、進捗管理手法の検討-

2019年10月16日

近年、世界各地で数々の極端な気象現象が観測されている。気温上昇による農業や健康への影響、短時間の集中強雨や台風の大型化と高い発生頻度による自然災害の激甚化等、気候変動に起因する負の影響への対処(気候変動影響への適応)は世界各国で喫緊の課題となっている。

こうした背景の下、2019年9月4日から同6日の3日間、プロジェクトはタイ温室効果ガス管理機構(TGO)が運営する気候変動国際研修センター(CITC)を通じて、東南アジア諸国の気候変動対策を担う中央政府職員を対象とした「気候変動適応策」研修を実施した。 ASEAN加盟国のうち、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムの7か国から計27名が参加した。

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グループワークの様子(出典:CITCウェブサイト)

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講義の様子

本研修は、気候変動の影響に対して世界でも特に脆弱な東南アジア諸国を対象として、適応の基盤となる影響評価から政策および施策の策定と、その進捗管理に至る一連の行程について基礎から学ぶことを目的として設計された。本研修では、日本やタイにおける適応の一連の取組みをケーススタディとして扱ったほか、タイで平行して実施展開されているSATREPS(注)研究プログラム「タイ国における統合的な気候変動適応戦略の共創推進に関する研究」(ADAP-T)プロジェクトからも最新の研究成果に基づく知見が研修参加者に共有されるなど、プロジェクト間の連動にも貢献した。

研修の演習では、今回獲得した知識を応用し、農業や防災、水資源管理等、それぞれの国の優先分野での適応策の特定や予算確保の方法を参加者間で議論することを通じて、テーマに対する理解の底上げが図られた。

本研修は、東南アジア諸国から事前に寄せられた能力強化のニーズを反映して設計された。CITCにとって初の適応分野での研修となったが、本研修の成果が東南アジア各国の若手人材育成、気候変動適応策の政策立案と実施に寄与することが期待される。

(注)地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、JICAが開発途上国の研究者と共同で研究を行っている。