AIを用いた診療報酬の審査制度に係るワークショップ

2021年10月20日

GLO +UHCプロジェクトは、Universal Coverage Scheme(UCスキーム)の資金管理においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている国民医療保障機構(NHSO)からの強い要請を受け、AIを活用した日本の診療報酬請求審査システムを学ぶワークショップを2021年10月20日にオンラインで開催しました。

NHSOは、膨大な量の医療費支払請求データの処理のため、支払請求および監査のオンライン化やコンピューター判定プログラムの開発を進めてきました。しかし、2020年に、民間医療機関による大規模な不正請求が明らかになり、審査の質と速度をさらに向上させるべく、医療の専門家による請求審査とAIの導入を本格的に検討し始めました。本ワークショップには、NHSO長官からその旨ビデオメッセージが寄せられ、審査請求および監査におけるAI導入がNHSOにおける最重要課題の一つであることが改めて示されました。

日本では、診療報酬請求審査機関の一つである社会保険診療報酬支払基金が、2021年9月にAIを導入しました。そこで、本ワークショップでは、このAIの開発管理の担当者を講師に招き、AIを用いた新審査システムについて講義を頂きました。MinhashとXgboostという2種類のAIの役割は、いずれも、人間によるチェックが必要か、コンピューターによるチェックのみで良いか、判断が簡単につかないレセプトを振り分けることです。別の二専門家も、この振り分け作業にAIを導入することで迅速かつ全国一律に振り分けを行うことが可能となり、結果的に審査の質が向上することが期待されていると強調しました。

NHSOからの約50名の参加者は、講義と質疑応答から多くのヒントを得ました。特に、AIの開発プロセスに関する実践的な知識の共有は有用だったと思われます。講師から、AIを導入する上で最も重要なことは、現在保有しているデータの形とデータの量から不適切なレセプトを探し出すために最適なAIのシステムを検討することであると提言がありました。NHSOは、UCスキームのデータセットを分析し、最適なシステムを探っていくことが期待されます。本プロジェクトは、NHSOの審査制度へのAI導入に向けた取り組みを支援してまいります。

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