マヒドン王子国際保健会議(PMAC)2022のサイドミーティング-保健人材の偏在対策

2021年12月20日

2021年12月、プロジェクトは、タイで開催される国際保健会議Prince Mahidol Award Conference(PMAC)2022のサイドミーティングを二つオンライン開催しました。一つ目のサイドミーティングは「Where is our doctor? Measures for the future distribution of health workforce」と題し、Asia Pacific Action Alliance on Human Resources for Health(AAAH)、International Health Policy Program(IHPP)と共にプロジェクト(タイ保健省、タイ国家医療保障機構、JICA)が主催しました。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成は、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット3.8として掲げられています。UHCの追求において、保健人材へのアクセス改善は不可欠です。特に農村地域において、保健人材の配置状況は医療へのアクセスに直接関係しています。さらに、医療サービスへのアクセスの欠如は、農村部から都市部への移住を引き起こし、健康と経済的状況の格差につながります。各国政府には、高齢化、都市化、移住などの人口動態を考慮した保健人材の偏在対策を講ずることが求められています。

サイドミーティングでは、ブータン、ラオス、タイ、日本の4か国の講演者が、各国の保健人材の偏在状況、効果的な対策、直面している課題等について発表しました。タイでは、包括的な保健人材登録システム構築に向けて、保健省と各医療専門職のカウンシルとの間でデータを共有するための電子プラットフォームを開発するパイロットプロジェクトが進行中です。ラオスの発表では、保健人材状況の改善に向けた地道な取り組みの歴史と重要な政策が紹介されました。その一つが、各保健センターにクリニカル・ヘルス・ワーカーを配置するという措置(clinical health worker allocation in health center policy)でした。ブータンは保健人材不足に直面していますが、プライマリーヘルスセンターに医師やケア調整チームを配置するなどのアプローチを実施しており、改善に向けて努力を続けています。日本からは、医師等の登録システム(三師調査)と、そのシステムから提供されたデータが、養成過程の中で、エビデンスに基づく医師の偏在対策を講じるために使用されていることについて発表がありました。

コメンテーターと議長からの各国の発表内容に対する意見や考察は、参加者全員の議題に対する理解を深め、議題に関するアクションを取ることの重要性を強調しました。コメンテーターの一人が述べたように、単一の解決策はなく、各国の文脈に基づいた調整された複合的な政策介入が必要です。本サイドミーティングでは様々なコンテクストで取られている様々な政策が共有され、調整された政策介入の要点について検討することができました。
最後に、本サイドミーティングに参加し、協力してくださったすべての参加者、登壇者(パネリスト)、開催者、そして、世界中の人々とつながる機会を提供してくださったPMAC事務局の皆さまへ心より感謝申し上げます。

サイドミーティングの録画はPMAC 2022ウェブサイトからご覧いただけます。

【画像】

【画像】