看護師のための継続教育(CPD)に関するオンラインワークショップシリーズ:第2回ワークショップ開催

2022年5月18日

2022年5月18日、看護職のための継続教育に関するオンラインワークショップシリーズの第2回目を開催し、14か国から約60名の参加者と約40名のオブザーバーが参加しました。第2回ワークショップのテーマは"CPD System for General Nursing"でした。本ワークショップでは、専門性や専門分野・診療科にかかわらず、すべての看護師に適用する共通のCPD活動・プログラムを「CPD for General Nursing」と定義しました。

Thailand Nursing and Midwifery Council(TNMC)会長のDr. Suchittraは開会の辞の中で、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成のために看護師のCPDシステムを強化することが重要であると述べました。

ゲストスピーカーとして参加したAustralian College of Nursing(ACN)学長のDr. Christine Duffieldは、看護師のCPDの概念、理論、世界の状況について講演しました。CPDの基本原則、規制のためのCPDの開発、現代のCPDの構成要素、オーストラリアにおける看護師のCPD、CPDを義務付ける際の注意点など、多くの重要なポイントが含まれていました。まとめとして、CPDが看護実践を高めるかどうかについては、決定的なエビデンスがないものの、同時に、CPDが必要ないと示すものも何もないと強調しました。

その後、国別プレゼンテーションに移り、ブータン、ラオス、マレーシア、スリランカから、CPD System for General Nursingに関する各国の制度の状況や計画について発表がありました。以下は各国の発表内容の一部です。

ブータンでは、近年CPDのガイドラインやフレームワークが策定されました。まだ新しい制度ですが、よく整備されているという印象を受けました。ブータンでは、看護師が臨床に携わっているのか教育に携わっているのか等で、CPDの必須項目や免許更新に必要な単位数が異なります。

ラオスでは、Bennerの看護理論"From Novice to Expert"に基づいて、CPDシステムの開発が行われています。看護実践の基本要素からグローバル及びローカルな保健課題まで、幅広いトピックをCPDプログラムに盛り込む予定です。

マレーシアでは、2008年からCPD制度が開始されました。免許更新とリンクしており、すべての看護師にCPDが義務付けられています。

スリランカもCPD制度を強化しています。CPDの単位制度を確立し、個人個人の看護師のCPD記録をデータベース管理する予定です。

本ワークショップでは、各発表国に、COVID-19によってもたらされた変化についても発表に含むように依頼しました。4か国とも、COVID-19に関する感染管理やクリティカルケアなどが新しくトピックに含まれたこと、また、パンデミック中はCPDプログラムの縮小や制限を余儀なくされたことなどを挙げており、その変化や受けた影響は類似していました。

発表後、二人の専門家がコメントを述べました。WHO SEAROの谷水氏は、CPDのインパクトと費用対効果に関する評価やアセスメントの必要性について言及し、また、WHO SEAROが開発中の看護教育者のためのコンピテンシーアセスメントツールを紹介しました。TNMCのDr. Prakinは、国レベルおよび機関レベル(職場レベル)においてCPD委員会を設置する必要性を述べ、また、CPDのテーマや内容の決定などは、看護師個人レベル(その個人にとって必要かどうか)だけでなく、国レベルないし機関レベル(職場レベル)においても検討されるべきであると強調しました。

最後に、厚生労働省医政局看護課の後藤室長が閉会の辞の中で、本ワークショップの継続開催が、アジア地域のみならず世界におけるCPD制度の確立と向上に寄与することを祈念し、第2回CPDワークショップは終了しました。

各国の発表や事前アンケートの回答から、参加国の多くが、患者の安全、感染管理、看護倫理、看護研究、病院における情報技術などのトピックを「CPD System for General Nursing」のプログラムや活動に含めるべきと考えていることがわかりました。これらは看護学校や大学で学んできたことであり、「なぜまたCPDとして学ばなければならないのか」と思われるかもしれませんが、その理由は、Dr. Prakinが述べたように、これらは人々や患者への安全や看護サービスの質を保証する重要な要素であるからです。看護師は、常に、これらに関する最新のスキルと知識を持っていることを求められています。

第2回ワークショップでは、多くの重要なポイントが提起されました。次回のワークショップでは、これらのポイントをより深く掘り下げたいと考えています。

本ワークショップ主催者:
- Asia Pacific Action Alliance on Human Resources for Health (AAAH)
- Japan International Cooperation Agency (JICA)
- Ministry of Public Health, Thailand
- National Health Security Office (NHSO), Thailand
- Thailand Nursing and Midwifery Council (TNMC)
- GLO+UHC Phase 2

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