看護師のための継続教育（CPD）に関するオンラインワークショップシリーズ：第3回ワークショップ開催

2022年9月29日、第3回看護職のための継続教育に関するオンラインワークショップを開催し、13か国から約50名の参加者と約20名のオブザーバーが参加しました。第3回ワークショップは「CPD system for specific fields of nursing and specialists」と「CPD system for nursing management/ administration」をテーマとして取り上げました。

一つ目のテーマである「CPD system for specific fields of nursing and specialists」では、タイ看護協会会長のProf. Dr. Siriorn Sindhuから基調講演として、保健医療政策に対応したCPDについて講演いただきました。続いて、インドネシアとケニアからは、それぞれの国の状況やグッドプラクティスを紹介いただきました。
インドネシアでは、小児看護、精神看護、地域看護、母性看護、成人看護（Medical-Surgical nursing）の5つの分野にナーシングスペシャリストを設けています。ナーシングスペシャリストになるためには、その分野の修士課程を修了した後、専門教育ステージ（specialist education stage）を修了する必要があります。また、インドネシアの看護師は、特定分野の研修に参加することで、専門性の証明書（certificates of expertise）を取得することができます。研修プログラムは、基礎、中級、上級の3レベルに分類されています。
ケニアの看護カウンシルは、最近、クリティカルケア、メンタルヘルス、オンコロジー、助産の4つの特定分野のCPDプログラムを承認しました。これらの分野は、ケニアが現在重点的に取り組んでいる健康問題をカバーしています。既にいくつかの大学でこれらの研修プログラム提供が開始されています。同時に、研修プログラム開発やシステム整備も進められています。

二つ目のテーマの「CPD system for nursing management/ administration」では、日本看護協会認定部課長の泊野香様から基調講演として、日本の認定看護管理者制度について講演いただきました。カンボジアとバングラデシュからは、それぞれの国の状況やグッドプラクティスを紹介いただきました。
カンボジアでは、看護管理・マネジメントのためのCPD制度はまだありませんが、院内の看護職を対象とした看護管理研修を実施している医療機関があり、今回は、国立小児科病院で実施されている看護管理研修について発表いただきました。この研修は院内のすべての看護師長および副師長を対象としており、すべての管理者が自身の知識と技術を向上させ、リーダーの役割をより効果的に発揮し、病院の目標達成に貢献することを目的としています。
バングラデシュにおいてもカンボジアと同様にCPD制度の整備が進められています。バングラデシュからは、現在整備を進めているCPDシステムの概要について発表がありました。看護管理者向けのマネジメント研修も、同国が力を入れている重要なCPDのコンテンツの一つです。
インドネシアの講演者もディスカッションに参加し、同国における看護リーダーシップとマネジメントの修士課程について紹介しました。

今回のワークショップの2つのテーマは、前回のテーマである「CPD System for General Nursing」と比較すると、より細分化され先進的なテーマでした。しかし、看護職はじめ医療職が直面している健康問題はより複雑化しており、医療技術も発展し高度化していることから、特定分野及び看護マネジメント・管理に関わる看護職の育成や、その能力向上が、より一層求められると考えられます。従って、今回、この2テーマについてワークショップを開催できたことは参加国にとって非常に有意義でした。本ワークショップに開催にあたってご協力頂いた関係各位に厚く御礼申し上げます。

本ワークショップ主催者：
- Asia Pacific Action Alliance on Human Resources for Health（AAAH）
- Japan International Cooperation Agency（JICA）
- Ministry of Public Health, Thailand
- National Health Security Office（NHSO）, Thailand
- Thailand Nursing and Midwifery Council（TNMC）
- GLO+UHC Phase 2