マヒドン王子国際保健会議(PMAC)2023のサイドミーティング-気候変動から健康を守るための保健人材育成のスケールアップについて

2023年1月24日

2023年1月24日、プロジェクトは、タイで開催される国際保健会議Prince Mahidol Award Conference(PMAC)2023において「Scale-up the health professional development to protect health from climate change」と題したサイドミーティングをハイブリッド形式で開催しました。本サイドミーティングはNational Health Professional Education Foundation(NHPE)と共にプロジェクト(タイ保健省、タイ国家医療保障機構(NHSO)、JICA)の主催で行われました。

気候変動は21世紀における最も重大な公衆衛生に対する脅威と考えられており、気候変動や気候変動関連の災害(熱波、山林火災、ハリケーン、豪雨、洪水、海面上昇等)により、感染症、損傷、呼吸器疾患、非感染性疾患、精神疾患等を引き起こすことが知られています。また、多くの国において持続可能な開発目標(SDGs)の一つであるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成に向けて努力がなされている中、気候変動(気候危機)により既存の保健医療システムのインフラが破壊され、保健医療サービスへのアクセスが妨げられることで、UHCの達成が危ぶまれる可能性が示唆されています。

そのような中、保健人材は保健医療システムの根幹であり、保健人材は気候変動による引き起こされる健康危機に対して十分に対応することが求められています。一方で、例えば2021年のWHO HEALTH AND CLIMATE CHANGE GLOBAL SURVEY REPORTによれば、調査参加国の約40パーセントの国でしか、気候変動に関するトレーニングが実際されていないなど、気候変動対策に関する保健医療人材の育成はいまだ不十分であり、保健人材育成法のスケールアップがより重要となっています。

サイドミーティングでは、気候変動が健康に与える影響及び気候変動対策に係る保健人材育成の現状についてレビューすること、保健人材が気候変動に対応できるようにするための取り組みと経験を共有すること、を目的としました。

サイドミーティングは3つのセッションで構成され、セッション1では、WHO(世界保健機関)の気候変動・健康・保健人材に関する戦略と題し、WHO本部のDr. Diarmid Campbell-Lendrum及びWHO-WPRO(西太平洋事務局)のDr. Masahiro Zakojiらから、WHOにおける本課題についての現況、取り組み等についてご講演いただきました。

セッション2では、気候変動対策に係る保健人材育成の好事例と題し、フィリピンからSt. Luke's Medical Center College of Medicine のDr. Renzo R. Guinto、JICAからASEAN災害医療連携強化プロジェクトのMr. Shuichi Ikeda及び米国からChevron USA社のDr. Payoungsak Kittikulらから、各スピーカーが実際に取り組まれている事例について紹介がありました。

その後、座長でNHSO役員のAssoc. Prof. Dr. Prasobsri Ungthavornの司会により「Moving forward to scale-up the health professional development」と題したパネルディスカッションが行われ、International Federation of Medical Students' Associations Thailandから、Mr. Nontakorn Siriwattanasatornにもご登壇いただき、セッション1及び2でご登壇頂いた演者らとともに、これからの気候変動という文脈における保健人材育成に求められるもの、課題、今後の展望等について活発な議論が行われるとともに、サイドミーティング参加者からも積極的に質問がなされ、本テーマに対する理解を深めることができました。

本サイドミーティングが、公衆衛生における気候変動対策のさらなる推進の一助となれば、プロジェクトとして望外の喜びです。

最後に、本サイドミーティングに参加し、協力してくださったすべての参加者、登壇者、開催者、そして、世界中の人々とつながる機会を提供してくださったPMAC事務局の皆さまへ心より感謝申し上げます。

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