プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)グローバルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジのためのパートナーシッププロジェクト フェーズ2
(英)The Partnership Project for Global Health and Universal Health Coverage Phase 2

対象国名

タイ

署名日(実施合意)

2020年9月30日

協力期間

2020年12月11日から2023年12月10日

相手国機関名

(和)タイ保健省、国家医療保障機構(以下「NHSO」)
(英)Ministry of Public Health、National Health Security Office

日本側協力機関名

厚生労働省

背景

タイでは2002年に開始されたUniversal Coverage Scheme(以下「UC制度」)により、人口のほぼ100%が健康保険・医療保障にてカバーされるようになった。しかしながら、タイ国内の一人当たりのUC制度の予算が10年間で倍増している(International Labour Office, 2016)ことに加え、3つの医療保障制度間の保障範囲と支払メカニズムの相違や、少子高齢化といった人口動態の変化を踏まえると、更なるユニバーサルヘルスカバレッジ(すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること、以下「UHC」)の達成に関する課題が山積しているといえる。保健人材においても、高齢者介護等のニーズが高まる中で、質や技術力の地域間格差の改善が、喫緊の課題となっている。
また、タイは、未だに国民に対する健康保険・医療保障制度が十分整備されていないことが多い中進国を含む開発途上国の中でも、早い時期に国民に対する健康保険・医療保障制度の導入を達成したことから、その経験を活かし、UHCに関する南南協力(特に近隣諸国を中心)を精力的に実施している。2016年~2020年にかけて実施した技術協力プロジェクト「グローバルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジのためのパートナーシッププロジェクト(以下、フェーズ1)」においては、日本からタイへの技術支援に留まらず、タイの強みである国際保健外交を活かして日本とタイの経験を他国に発信する活動を実施した。その結果、タイ国内における公的保険制度上の課題に関しては、日本の知見の共有の結果としてバンコク都市圏における診療報酬制度の導入・試行等で成果があり、また、日タイ双方の強みである母子保健の経験をテクニカルペーパーに取りまとめ、母子手帳国際会議で発表するなど、他国への発信についても一定の成果があった。一方、フェーズ1では診療報酬制度のカバー範囲の拡大や、限られた保健人材の効果的な活用に関するタイ国内での更なる取り組みに関し、日本からの支援が必要であることがタイ、日本双方で確認された。また、他国、特に繋がりの強い周辺国(カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム等)への支援については、課題分析に基づき中長期的な観点から支援を行うことや、タイ側による主体的な働きかけの支援に取り組んでいたが、更なる取り組みの余地を残している。
かかる状況をふまえ、1)タイ国内の保健財政、特に公的保険制度の改善や保健人材の活用に関する日本からの支援のほか、2)タイ国内のこれらの取り組みで得られた経験や知見を活かした、タイによる周辺国の課題分析支援や、タイ側による周辺国の能力強化に取り組む支援、3)上記のプロセスを通じて周辺国を含む他国とのパートナーシップを強化し、国際保健上の課題解決に対し貢献するための支援がタイ政府より要請された。

目標

上位目標

プロジェクトを通じて強化されたUHC実施の能力や体制により、国際保健上の解決に係るタイと日本、及び他国のパートナーシップが継続され、支援に活用されている。

プロジェクト目標

保健財政と保健人材に焦点をあてたUHC達成のための能力及びタイと他国が協働して国際保健上の課題を解決するための能力がタイと他国において強化される。

成果

1.タイと日本においてUHC、特に保健財政と保健人材分野に係る経験が共有され、両国のUHCの促進に貢献する。
2.タイと周辺国におけるUHC及び国際保健の実施に向けた能力強化が促進される。
3.UHC及び国際保健の実施に関する教訓と好事例が(主にタイと日本から)国家レベル・地域レベル・国際レベルで共有され、促進される。

活動

Overall-1.プロジェクトミーティング(Joint Project Management Team、以下「JPMT」)(必須)、ワーキングチーム(任意)の立ち上げ
Overall-2.JPMT定例会議の実施

1-1-a.状況を分析し、UHC推進のために特に保健財政及び保健人材分野における最大10のサブトピックを選定する。
(注)JPMTは合同委員会(Joint Cordination Committee、以下「JCC」)メンバーの合意があれば、その他の取り組み課題を追加できる。
1-1-b.保健財政及び保健人材に関する選定されたサブトピックについて能力強化活動を実施する。
1-1-c.保健財政及び保健人材に関する選定されたサブトピック(診療報酬群等)に関する共同研究を実施する。

1-2-a.これらの結果を踏まえ政策策定者に提言を行う

2-1-a.優先支援国(ex.ラオス・ベトナム)のUHC推進に関する関係者と連携の可能性や実現可能性を検討するための協議を行う。
(注)プロジェクトはJCCメンバーの合意を得れば予算、ニーズ、対象分野等を勘案の上優先支援国を追加することができる。
(注)活動の初期に優先支援国を数か国選定する。
(注)優先支援国とは:プロジェクトが密接に協力する国のこと。
2-1-b.優先支援国(ex.ラオス・ベトナム)のUHC推進にかかる状況分析とニーズ分析を行う。
2-1-c.優先支援国(ex.ラオス・ベトナム)のUHC推進にかかる日・タイの協力活動案を策定する。
2-1-d.優先支援国(ex.ラオス・ベトナム)のUHC推進のための支援を行う。
2-1-e.優先支援国(ex.ラオス・ベトナム)のUHC推進のための支援を評価する。

2-2-a.国際保健外交ワークショップの部分的な支援のため、考えられる連携案の特定や、プロジェクトの年間計画の策定を行う。
2-2-b.2-2-aで策定した計画を実行する

2-3-a.その他プロジェクトが部分的に支援する、特に保健財政及び保健人材分野などUHCに関係する活動のため、考えられる連携案の特定や年間計画の策定を行う。
2-3-b.2-3-aで策定した計画を実行する。
2-3-c.各参加国(ex.ケニア・カンボジア・ミャンマー・インドネシア・フィリピン)からの要望に応じ、UHC実施に関する情報を共有する。

3-1-a.UHC及び国際保健の促進に役立つ情報を取りまとめるUHCリソースセンターの構想を策定し、運用・管理計画について関係機関と合意する。
3-1-b.NHSOまたはその他のウェブサイト下にUHCリソースセンターを設置する。
3-1-c.UHCリソースセンターを公開し、公の利用を促進する。

3-2-a.考えられるフォーラムとその役割、プロジェクトの貢献方法を検討する。
3-2-b.3-2-aの検討結果を実践する。

投入

日本側投入

長期/短期専門家、本邦研修等

相手国側投入

カウンターパートの配置、案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供等