警察官を対象に交通取締りと交通事故捜査の研修を実施しました。

2022年12月8日

2022年11月21日から23日の3日間、本プロジェクトの第1年次のパイロット県であるナコンラチャシマ県の警察官を対象に、交通事故捜査と交通取締りの研修を実施しました。タイは年中暑く屋外での長時間の研修は難しいこともあり、ナコンラチャシマ県内にある警察の研修施設にて実施しました。第1日目は、日本の交通戦争の紹介、交通事故捜査、さらに交通取締りの講義、第2日目に一時停止無視違反の取締り方法の実地研修、第3日目に速度超過違反の取締り方法と交通事故捜査の実地研修を行いました。

本プロジェクトの成果1では、交通事故データベースの信頼性向上に向けて、事故データの基となる交通事故捜査の研修が含まれています。これまでの活動の中で、タイでは交通事故現場にて事故原因の究明が十分になされていないために、適切な再発防止策の検討に繋がっていないことが分かってきました。そこで、現場にて十分な検証が行えるように、日本の事故現場の交通規制の方法の紹介、また捜査においての見るポイント等を紹介しました。

さらに、成果3の活動では、“3E”とよばれるEngineering(工学面)、Education(教育面)、Enforcement(取締り面)からなる包括的交通安全対策プログラムの実施がテーマとなっています。これまで実施してきた調査の結果、第1年次のパイロット地域での主な危険要因として、交差点進入時に停止して周囲の安全を確認しない「一時停止無視」とスピードを出しすぎる「速度超過」の交通違反が抽出されました。そのため3Eのひとつである取締りに関する研修では、停止の重要性を市民に伝えるための丁寧な声掛けの方法や、速度超過違反取締りにおける手順について日本の方法を紹介し、タイの実情にあわせて活用可能な部分を一緒に議論しました。丁寧な声掛けとは、日本の警察官が行うように「気を付けてくださいね」と敬礼をしながら市民を見送る様子を指します。これらの積み重ねが、タイ警察が課題のひとつとして挙げている“市民からの信頼”を得るために重要であると日本側プロジェクトメンバーは考えています。

今回、総勢約50名の警察官が本研修に参加しました。多くの警察官が、基本的なプロセスは日本もタイも同じであることを確認し、その上で、実践現場でのよりきめ細かい対応や、地道な活動の重要性について再認識する研修となりました。

交通取締りについては、本研修で習得した取締り手法を活用して、11月27日に成果3のパイロット地域にて、交通警察官による一時停止無視防止の呼びかけ活動を行う予定です。

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第1日目の講義の状況

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第1日目の講義の状況

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第2日目の一時停止無視違反の取締りの研修状況

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第3日目の交通事故捜査の研修状況

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第3日目の速度超過違反の取締りの研修状況