対面・集合型活動がついに再開!

2022年11月14日

COVID19によるパンデミックのため、ARCHプロジェクトでも2年半以上、対面・集合型の会議や研修・演習などを実施できていませんでしたが、本年1月に新たに開始したARCHプロジェクト第2フェーズ(ARCH2)の活動の一環として、ついに対面型、集合型で第1回プロジェクト・ワーキング・グループ会議1(PWG1)、プロジェクト・ワーキング・グループ会議2(PWG2)、第2回合同PWG会議、第1回災害保健医療管理に係るASEAN学術ネットワーク形成会議(AANDHM)が開催されました。

2022年9月5日~8日の4日間、ARCH2の活動を本格化するため、プロジェクト期間中の方向性を定め、詳細な実施計画を確定する上で重要となる上述の4つの一連の国際会議がタイ・バンコクにおいて対面・集合型で開催されました。プロジェクト推進のカギを握るASEAN加盟国10ヵ国の各ワーキンググループ代表者(PWG1及びPWG2)、ASEAN学術ネットワーク(AAD-DHM)を構成する各国の学術教育機関や保健省教育担当部局等の代表者、及び日本からもJICA人間開発部代表及びARCH2の国内支援委員も参加し、加えて日タイのARCH2プロジェクト関係者も含め、連日、50人を越える人々が各会議に参加し、意見を交わしました。やはりオンライン会議やメール等のやりとりだけでは、議題内容に関し、深い相互理解を得ることには限界があり、誤解も生じる可能性が高い。ARCHプロジェクトのようなプロジェクトの関係者が10ケ国にもわたり、各国とのきめ細かな意見調整と政策・方針のすり合わせが必要な案件では、対面・集合型で会議を行うことが不可欠であり、そうすれば公式会議時間のみならず、場外においても特定国や、特定のキーパーソンとの腹蔵ない議論や根回しなども可能となります。よって、今回の一連の会議を通じ、COVID19期間中には十分に意見調整できなかったテーマについても議論に大きな進展を見ることができたとともに、ASEAN各国の関係者間で、ASEAN災害保健医療管理の地域能力強化に向けた一体感を醸成することもできました。

会議を通してARCHプロジェクトとして支援を続けてきたASEAN地域の災害保健医療分野での連携強化に関する様々な取り組みの進捗が確認され、今後の活動推進のために活発な議論が交わされました。

PWG1会議(2022年9月5日)

・ARCHプロジェクトが開発したASEAN地域における緊急医療チーム(EMT)派遣に係る標準手順書(EMT SOP)のASEAN災害対応標準手順書(SASOP)への統合における進捗
・ASEAN Collective Measures(ACM)の進捗確認と課題探求(ワークショップ)

PWG1会議では、EMTSOPのSASOP第7章への仮統合がASEAN防災委員会(ACDM)より承認され、次回のASEAN災害緊急対応シミュレーション演習(ARDEX)(2023年インドネシアにて開催予定)での検証を経た後に正式統合が計画されている点、迅速で効果的な質の高いEMT派遣を実現するためのASEAN地域取り組みであるACMの現状確認とこれからの課題について議論されました。

合同PWG会議(2022年9月6日)

・災害保健医療管理にかかるASEAN学術ネットワーク(AANDHM)とASEAN災害保健医療管理研究所(AIDHM)の設置に関する進捗
・第5回ASEAN地域連携演習(RCD)開催について
・災害保健医療管理にかかるピア・レビューの提案
・国別研修:Knowledge Co-Creation Program(KCCP)on DHM in ASEAN Countriesのプログラム説明
・公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency:PHE)への取り組みに関わる課題探求(ワークショップ)

合同PWG会議では、ASEAN学術ネットワークの組織化に関する進捗、地域連携演習、災害保健医療管理に係るピア・レビュー活動の提案、国別研修のプログラムなどが共有されました。また、先般の世界的感染症の拡大を受け、今後の公衆衛生上の緊急対応において災害保健医療実践者としてどの様な貢献が出来るかについてワークショップを実施しARCHプロジェクトとしての取り組みについて議論する機会を設けました。

PWG2会議(2022年9月7日)

・災害医療関連研修実施に関するARCHプロジェクト戦略と活動領域
・災害対応強化のための標準研修カリキュラム開発の進捗報告と今後の実施予定=国内緊急医療チーム要員基礎研修(Bコース)and医療支援調整機能に係る研修(Cコース)、ASEAN地域連携演習(RCD)について
・ASEANでの災害保健医療に関する研究の推進に向けた課題探求(ワークショップ)

PWG2会議では主に災害保健医療領域における標準研修カリキュラム開発の進捗について共有されました。特に災害緊急医療チームへの参加を期待する医療関係者を対象とする基礎コース(Bコース)と災害時に保健省や地方行政機関内に設置される保健医療に対する非常事態対策本部において関係行政機関や緊急医療チーム等との調整を担当する人材を対象とする調整コース(Cコース)に関しては、開発の最終段階に入り、Bコースは来年の早い時期にタイで、Cコースは今年の12月初旬に日本にて、それぞれ開発してきたカリキュラムや教材を最終化するための試行コースの開催を予定しています。来年度に予定されているRCDはマレーシアを開催候補国として準備・調整が開始されています。

AAN形成会議(2022年9月8日)

・災害保健医療管理におけるASEAN学術ネットワーク(AANDHM)とASEAN災害保健医療管理研究所(AIDHM)の設立に係る進捗
・AANDHMの管理体制と組織体制について
・AANDHMにおけるASEAN域外メンバーの参加に関する提案
・2023年開催予定ASEAN災害保健医療管理学術会議(AACDHM)について
・ASEAN災害保健医療管理学術誌の創刊について
・ASEAN災害医療管理学術諮問会議(AAWG)の設置について
・災害保健医療管理に関する共同研究の推進について

最終日となるASEAN学術ネットワーク形成会議では、ネットワークを機能化させるための組織枠組み、管理方法、手順、活動計画の中身などについて議論されました。来年11月に予定されている第2回ASEAN災害保健医療管理学術会議はインドネシアがホスト国として名乗りを挙げており、今後準備・調整が本格的に開始される予定となっています。