プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)固定資産評価能力向上プロジェクト
(英)Project for Enhancement of Property Valuation Capacity in Thailand

対象国名

タイ

署名日(実施合意)

2022年10月25日

プロジェクトサイト

タイ国内のパイロット活動対象自治体の管轄地域

協力期間

2022年11月30日から2025年11月29日

相手国機関名

(和)タイ財務省理財局資産評価基準部
(英)Property Valuation Standards Division, Treasury Department, Ministry of Finance

背景

タイでは2019年に新土地家屋評価法・新土地家屋税法が施行された。旧法では、課税標準は資産の賃貸価格であったが、新法においては新たに資産の評価額が課税標準と変更された。
新土地家屋税の効果的な実施において最も重要な業務の一つが、課税標準を導く固定資産評価である。新法の施行により、新たにその責務を担うのが財務省理財局資産評価基準部(Property Valuation Standards Division:PVSD)および資産評価部(Property Valuation Division:PVD)であり、新法を根拠に局内で作成された評価基準に基づき、新土地家屋税の算出で利用される土地・家屋・コンドミニアムを評価している。
しかしながら、現状では以下のような課題が存在している。
土地に関する評価基準では、1)用途地区や状況類似地域、価格決定要因の分類の仕方が整理されていない、2)売買実例価格に過度に依存した評価体系になっており、一般的要因・地域要因・個別的要因などの価格を形成する要因等が配慮されていない、等の課題がある。
家屋に関する評価基準では、1)約70種類に分類されている評価額リストの区分けが明確でなく、評価員が一貫性をもって分類できない、2)家屋タイプ毎の家屋評価額の根拠として、家屋の品質要因が考慮されていない、等の課題がある。
また、評価基準以外にも、土地局から入手するデータの質が低い、OJT中心の研修体制であることから教えるメンターによって伝達する情報に違いが生じる、といった課題も存在している。
これらの課題により、評価の根拠が不透明で評価者の主観に依存する部分が多くなってしまっており、未だ新しい法律に則した形での効率的な評価方法(基準・業務体制等)が確立できていない。
その為、タイの現在の評価方法と親和性がある日本の路線価方式を参考にしつつ、透明性のある評価基準の整備、体系的な評価業務体制の構築、公的土地評価の為の情報蓄積等を含んだ新たな評価方法の確立を行う事を目的に、本案件を通じた技術協力が要請された。

目標

上位目標

プロジェクト活動が他地域に拡大し、PVSD及びPVDの固定資産評価の効率性及び正確性を改善する能力がより強化される。

プロジェクト目標

パイロット地区においてPVSD及びPVDの固定資産評価の効率性及び正確性を改善する能力が強化される。

成果

1.パイロット地区においてPVSD及びPVDの所管する固定資産評価業務に関するマニュアルが現状調査及び必要なリサーチによって改善される。
2.パイロット地区において、改定されたマニュアル及び必要なリサーチによって、固定資産評価に関するITシステムが改善される。
3.PVSDとPVDの職員の固定資産評価に関する研修環境が改善される。

活動

成果1関連

1-1.状況分析・調査(Situation Analysis & Research:SA&R)を管理するプロジェクト・ワーキング・グループ(WG)の立ち上げ
1-2.SA&Rのパイロットエリアの確認
1-3.SA&Rの実施
1-4.SA&Rの勧告を受けた改訂マニュアルの作成
1-5.改訂マニュアルの最終ドラフトを提出し、財務部門における承認プロセスを促進する。
1-6.改訂マニュアルの効率性と有効性に関するアンケート調査を実施し、評価報告書を作成する。
1-7.成果1、2、3の評価報告書をまとめ、展開計画を作成する。

成果2関連

2-1.改訂されたマニュアルの構成要素と現行のITシステムベンダーとの統合に関する一連のミーティングを開催する。
2-2.システムベンダーとワーキンググループ(WG)の合意のもと、統合計画を策定する。
2-3.財務省による統合計画の承認と、統合計画に基づくシステムの改修を実施する。
2-4.パイロットエリアでの変更後のシステムのテスト
2-5.目標とするベンチマークとユーザーの意見に基づき、改修結果を評価する。
2-6.評価報告書の作成

成果3関連

3-1.トレーニングの必要性を確認する。
3-2.研修計画の策定(テーマ、カリキュラム、講義、目標、スケジュールなど)
3-3.必要なリソース(講師、材料、機器など)の調達
3-4.選択したトピックの研修を実施し、アンケートによるモニタリングと評価を実施する。
3-5.研修評価報告書の作成
3-6.さらなる能力開発のための研修計画の見直し

投入

日本側投入

専門家派遣

長期専門家(総括、固定資産評価/業務調整)、短期専門家(土地分類・価格形成要因、土地比較分析・路線価積算、マニュアル設計、研修管理/教材作成等)、ローカルコンサルタント

研修員受け入れ

固定資産評価に関する本邦研修

機材供与

必要に応じて供与

相手国側投入

カウンターパートの配置
執務スペース、案件実施のための関連データの提供、現地セミナー/研修経費