(和)就学前教育におけるインクルーシブ教育実践強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening Practice of Inclusive Education in Preschool Education
ウズベキスタン
2021年6月21日
2021年11月10日から2024年11月8日
(和)就学前教育省
(英)Ministry of Preschool Education of the Government of Uzbekistan
ウズベキスタンでは、2017年の就学前教育省の設置以降、就学前施設の拡充がなされ、全国の就学前教育を受ける児童の割合が27.7%(2017年)から60.9%(2020年)に拡大した。障害のある子どもについても、就学前障害児向け多機能特別支援教育施設が全国で71校設置されており(2020年時点)、全国約4万人の障害児(2歳~7歳、2018年)のうち、約5,500人(2021年3月時点)が、これら施設に通学している。この就学前障害児向け多機能特別支援教育施設には障害児のみが在籍しており、特別支援教育を担う教員が、児童の年齢や個々の特性、発達段階、健康状態に応じたケアと教育を提供している。
就学前の教育及び発育に関する法律(2019年12月)では、特別支援教育の改善とインクルーシブ教育の拡充が掲げられている。就学前教育においては、同教育1年間の義務教育化を背景に、インクルーシブ教育の導入・拡充が政策上の課題とされているが、現状では、既存の特別支援教育施設における、就学前の障害児に対するケアや教育の質の改善が喫緊の課題となっている。特別支援教育における実践的な知識・技術はインクルーシブ教育実践の土台であり、保育士・教員の能力向上と障害児へのケアと教育の改善は、特別支援教育のみならずインクルーシブ教育にとっても重要である。
他方で、保育士・教員は障害児のケアと教育に関する実践的な知識・技術を得る機会が限られている。現職教員研修には知的障害と言語障害を持つ児童に関する講義が含まれているが、ロシアの教材に基づいて提供されているため、就学前教育省は同国の現状に則した、より実践的な内容を志向している。そして、研修を通じて教員が障害児の指導法を習得すること、その実践により教育現場が改善されることを期待しているまた、ウズベキスタン国内では2020年9月承認の教育法及び2020年10月の大統領令に基づき、初等教育以降では既にインクルーシブ教育の導入が進められていることから、就学前教育(特別支援教育に軸足)から初等教育(インクルーシブ教育に軸足)への接続をより円滑に行う工夫が必要である。特に、担任となる初等教育第1学年の教員にとって、就学前教育と連続性あるケアと教育を児童に提供するにあたり、就学前最終学年における児童のケアと教育の現状への理解が不可欠となる。
就学前教育保育士・教員および初等第1学年担任教員が、勤務校において障害児に対して適切なケアと教育を実践する。
特別支援教育の知識・技術を土台として、就学前教育保育士・教員および初等第1学年担任教員を対象とするインクルーシブ教育に関する現職教員研修の制度的基盤が確立される。
1.インクルーシブ教育に関する現職教員研修のトレーナー2の能力が強化される。
2.就学前教育保育士・教員および初等第1学年担任教員を対象とするインクルーシブ教育に関する現職教員研修プログラムが開発される。
1-1.就学前教育省と国民教育省の行政官と技官で構成されるワーキング・グループ(WG)が設置される。
1-2.WGがインクルーシブ教育に関する現職教員研修のトレーナー研修計画(トレーナー選定手続きを含む)を作成する。
1-3.WGが現職教員研修のトレーナー研修計画について公式承認(就学前教育省と国民教育省の承認)を得る。
1-4.WGがトレーナー選定基準に即してトレーナーを選任する。
1-5.WGが現職教員研修トレーナーの研修で使用する研修教材、研修実施マニュアル、研修評価ツール、その他の必要な文書のドラフトを作成する。
1-6.WGが予算、研修スペース、講師、印刷済の研修教材・研修実施マニュアル・研修評価ツール等を用意する。
1-7.WGが現職教員研修トレーナーの研修を実施する。
1-8.WGがトレーナー研修の実施結果を分析する。
1-9.WGがトレーナー研修の終了報告書を作成する。
1-10.WGがトレーナー研修の終了報告書を就学前教育省と国民教育省の上層部(責任者)に提出する。
2-1.WGとトレーナーが、(1)既存のインクルーシブ教育と特別支援教育に関する教員研修プログラム、(2)既存の研修教材、教員用ハンドブック、障害児の指導(教育的アプローチ)に関する参考文献、(3)障害児の就学前教育に関する国内外の政策・戦略、(4)国内外の障害児関連統計について分析する。
2-2.WGとトレーナーが、パイロット地域の障害児の現状および教員のインクルーシブ教育/特別支援教育に関する研修ニーズを分析する。
2-3.WGとトレーナーがインクルーシブ教育に関する現職教員研修計画を作成する。
2-4.WGとトレーナーが現職教員研修計画について公式承認(就学前教育省と国民教育省の了承)を得る。
2-5.トレーナーが現職教員研修プログラムを開発する。
2-6.トレーナーが現職教員研修で使用する研修教材、研修実施マニュアル、研修評価ツール、その他の必要な文書のドラフトを作成する。
2-7.WGとトレーナーが予算、研修スペース、講師、印刷済の研修教材・研修実施マニュアル・研修評価ツール等を用意する。
2-8.トレーナーが、正式な手続きを経て、パイロット地域における現職教員研修プログラム参加者を確定する。
2-9.トレーナーが現職教員研修プログラムをパイロット地域で実施する。
2-10.トレーナーが、パイロット現職教員研修プログラムの事前・事後確認テストの結果、参加者への質問票の回答、参加者のコメント等を分析する。
2-11.トレーナーがパイロット現職教員研修プログラムの終了報告書を作成する。
2-12.トレーナーが終了報告書を教育セクター関係者3と共有する。
2-13.WGとトレーナーが、終了報告書と教育セクター関係者のコメントを踏まえて、現職教員研修プログラムを最終化する。
2-14.WGとトレーナーが、現職教員研修プログラムで使用する研修教材、研修実施マニュアル、研修評価ツール、その他の必要な文書のドラフトを修正(最終化)する。
2-15.WGとトレーナーが、インクルーシブ教育に関する現職教員研修の全国展開計画案(予算試算も含む)を作成する。
2-16.WGがインクルーシブ教育に関する現職教員研修の全国展開計画案を就学前教育省と国民教育省に提案する。
1.専門家派遣
2.研修員受け入れ
3.その他プロジェクト運営必要経費
1.カウンターパートの配置
2.ワーキンググループが直接実施する活動に関する費用
3.成果共有セミナーの準備・実施に関する費用
4.最終成果物の印刷・配布費用
5.プロジェクトオフィスの提供 等