津波監視カメラ及び震度計の設置に係る現地調査の実施

2019年8月12日

2019年7月から8月にかけて、第二次現地調査及び既存装置の現地点検・改善作業を実施しました。
本プロジェクトでは、地震・津波・高潮情報の高度化を目的として、津波監視カメラ及びリアルタイム震度計を地方の島々に新たに設置することを計画しています。そのため、設置前にはその場所の電源、通信、セキュリティ、周辺環境などの把握及び測量のための現地調査が必須となります。

現地調査には、携帯型地震計、GPS計、360度全球カメラ、レーザー測距計、ノートPC等の文明の利器を持参しますが、昔ながらの巻尺・箱尺、そして何よりもカウンターパートであるバヌアツ気象・地象災害局(VMGD)の職員が同行し、ともに作業を行うことが欠かせません。
それは協働が技術移転の根幹であるとともに、現地の状況を熟知しているカウンターパートだからこその機転や具体的な情報に助けられることが多いからです。

【画像】

各種機材の設置及び設置予定箇所

(1)7月25日 エファテ島バウアーフィールド空港気象観測所の自動観測装置の改善作業

航空機の離着陸に気象及び地震情報は不可欠であるため、航空局とVMGDは密接な協力関係にあります。自動観測装置の降水表示を改善するため、ソフトウェアの変更を行いましたが、これも航空管制官から直近の雨の強度を知りたいとの要望が背景にありました。
管制官と顔馴染みのカウンターパートの計らいもあって、ソフトウェアの変更直後に管制塔を訪問し、管制官と意見交換をする機会を得ることが出来、今後の活動にとても参考となりました。

【画像】

左端と右から2番目が管制官、右端がVMGDカウンターパート(バウアーフィールド空港の管制塔にて)

(2)8月9日 マラクラ島リツリツ潮位観測所における津波監視カメラ設置のための現地調査

現地へ向かう早朝の定期便で、箱尺に関する予期せぬ問題が発生し、使用することができなくなりました。箱尺は、4mまで伸ばして支柱や避雷針の高さを測る他、先端に360度全球カメラを装着して地上高5m付近に設置予定の津波監視カメラを想定した画角範囲・見え方の確認をするために必要でした。
この困った状況に際して、カウンターパートがどこからか細長い枯れ木を運んで来てくれました。巻尺で測ると全長4.6mもあります。先端に360度全球カメラをビニールテープでぐるぐる巻きにして、不格好ではありますが取り付けることも出来ました。
この枯れ木を代用するというカウンターパートの機転のおかげで目的とする作業を終えることが出来ました。

【画像】

枯れ木に取り付けた360度全球カメラの様子とその撮影画像による津波監視カメラ画像のイメージ

(3)8月12日 バヌア・ラバ島ソラ地区におけるリアルアイム震度計設置の現地調査

設置の候補となる国家災害管理局(NDMO)事務所とE-Government事務所において、振動ノイズ測定、電源・通信・周辺環境などの調査を行いました。
部屋の壁にカビが多くみられること、送電線や電源メーター箱などがあるにもかかわらず商用電源が使えないことなど疑問ばかりが生まれましたが、カウンターパートはこれらの謎解きをしてくれました。原因は、浸水がたびたび発生したこと、電力会社との諸手続に時間を要していることなどであり、現地の状況を知る者の情報が調査には欠かせないと再認識しました。

【画像】

携帯型地震計を用いた振動ノイズ測定の様子

今後も機材の設置や技術移転において、カウンターパートとの協働は不可欠です。
プロジェクトでは、カウンターパートとの信頼関係をより一層深め、引き続きプロジェクト目標を達成出来るよう努めていきます。

作成:一条 弘之(プロジェクト専門家(災害情報))