タブレットを用いた森林モニタリングのベトナム全土への展開を目指して-中間ワークショップを開催-

2018年4月20日

2018年4月20日、タブレットを用いた森林モニタリングシステムの進捗状況報告及び今後の展開を議論するための中間ワークショップをハノイにて開催しました。森林モニタリングを担当する森林総局森林保護局(FPD)、ベトナムの森林プロジェクトを統括する農業農村開発省森林プロジェクト管理委員会(MBFPs)、同システムを導入した15省(地方省)および導入を検討する3省や他ドナー等、当初の予想を大幅に上回る100名近い関係者及び森林モニタリングシステムに関心のある方々が集まり、関心の高さを再認識する機会ともなりました。

JICAが展開してきている森林モニタリングシステムは、FCPF2(世界銀行)をはじめUN-REDD2(UNDP/FAO/UNEP)やVFD(USAID)といった他ドナープロジェクトと連携し森林モニタリングシステム活動を展開してきています(注)。これまでに当プロジェクトで支援する5省と合わせて計15省で森林モニタリングシステムが導入され、今後も他ドナーとの連携で森林モニタリングシステムを導入する省が増えていく予定です。ベトナムの森林情報システムの構築を進めるFORMISII(フィンランド政府)とも連携し、タブレットで集めたデータをこのデータベースに統合する取組みも平行して進めています。統合が完了することで、現場で集めたデータを中央にあるデータベースで一元管理することができ、これまでと比べ森林変化の報告をより容易かつ正確に実施することが可能になります。

ワークショップではFORMISIIのチーフアドバイザーであるTapio Leppanen氏から、ベトナムの森林情報整備を進める2つのプロジェクトが高いモチベーションをもち、共通の目標に向かい協働している点が強調されました。統合作業は9合目に到達しており、もう一息というところまで来ています。こういった活動の成果がベトナム政府にも認められ、昨年11月に改定された森林モニタリング手法を示した農業農村開発省通達26号(26/2017/TT-BNNPTNT)において、タブレットが森林モニタリング実施のための機材として正式に承認されました。

ワークショップでは、森林モニタリングシステムの進捗状況の報告がなされ、あわせてプロジェクトが終了する2020年以降に森林モニタリングシステムを継続していくために必要な対応等について活発な議論が交わされました。省の森林モニタリング担当者からは、今後持続的に森林モニタリングを実施していく上で中央レベルの役割が重要になるという意見が出されました。当プロジェクトの高橋専門家からは、中央のみならず各省の管理者レベルの担当者が責任を持ち活動を進めていくことが重要になる点、全国に森林モニタリングシステムを展開するためのロードマップおよびそのための予算措置を検討していく必要がある点が強調されました。

タブレットの利用が正式に承認され、また中央データベースとの統合もあと一歩のところまで来ています。今後は森林モニタリングシステムを導入した各省でタブレットによる森林モニタリングが着実に根付くこと、この取り組みが全国に広がることを目指し、活動を進めていく予定です。

(注)FCPF:Forest Carbon Partnership Facility. VFD: Vietnam Forests and Deltas Program.

【画像】

会場の様子。想定を上回る100名近い森林モニタリングシステム関係者等が集まりました。

【画像】

共同議長を務めるMBFPsのThon委員長およびFPDのThom副局長

【画像】

活動について発表するSNRMプロジェクトの林専門家