日越国会図書館共同研究 「行政単位」についての意見交換会の開催

2018年10月4日

8月28日、ベトナム国会事務局とJICAの共催で、省・郡などの「行政単位」に関する意見交換会がベトナムの首都ハノイで開催されました。これは、ベトナムと日本の行政単位について比較研究を行うことで、ベトナム側に、新たな行政単位の検討材料を提供しようと、日本の国立国会図書館とベトナムの国会図書館の研究員が一堂に会して実施されたものです。ベトナムでの行政単位をめぐっては、本プロジェクトのフェーズIで支援を行い、2015年に制定された「地方政権組織法」の改正議論が起きる中、注目が集まっています。

意見交換会では冒頭、ベトナムのレ・ボ・リン国会事務次長があいさつをし、「ベトナムではいま地方政府の改革を進めており、地方の合併を予定している。今日の意見交換会では、日本の地方自治体についての経験を聞きたい」と述べました。ベトナム側では、国会図書館のフオン館長をリーダーとする研究チームが編成され、ベトナムの歴史変遷に伴う行政単位の変化や現状、課題が紹介されました。その後、日本から参加した国立国会図書館の大嵜康弘専門調査員と倉谷麻耶調査員が、日本の行政単位の現状や最近の動きなどについて説明したうえで、両者の間で活発な議論が行われました。

特に、

  1. 地方自治体の二元代表性(首長と議会)
  2. 日本が採用する地方自治の二層制(都道府県・市町村)と、ベトナムが採用する三層制のメリット・デメリット
  3. 自治体間の権能や上下関係
  4. 日本で最小の行政単位である市町村を支える自治会の仕組み
  5. 市町村合併の制度・手続きやメリット・デメリット

にかかる議論は白熱し、日本の経験からなんとか教訓を導こうとするベトナム側の意欲が感じられる会となりました。

本プロジェクトではフェーズIの開始以来、日本の国立国会図書館とベトナムの国会図書館が最良のパートナーとして関係を築いてきました。事業戦略の策定のほか、書架の整備方式やデジタル化の手法など、国会図書館の運営ノウハウや技術を日本から学びました。さらに、ベトナム国会図書館では、国会議員がスマートフォンからデジタル図書館にログインできる環境がまもなく整います。

このようなソフト・ハード両面の向上を経て、今回「共同研究」の一環として意見交換会が行われたわけですが、ベトナム国会図書館は今回の内容について国会に報告書を提出し、国会議員による議論をサポートしていくことになります。今後、報告書がどのように策定され、国会での議論に影響を与えていくのか、プロジェクトとして注視していくことにしています。

【画像】

意見交換会の様子

【画像】

集合写真

【画像】

ベトナム国会図書館
図書が整然と並べられている