ベトナム国会職員が日本で議員立法の研修

2019年8月15日

国会議員の発議による法律、いわゆる議員立法の作成において、国会の職員がいかに国会議員をサポートするか。ベトナムで日ごろ、政府提出法案の審査や修正の業務に携わる国会事務局法律局の職員3名が、2019年7月、12日間にわたって来日し、研修を受けました。研修を実施したのは、議員立法を補佐するスペシャリスト集団、衆議院法制局です。

3人は、国会議員から政策の立法化を依頼されたという想定の下で、実践的な研修を受けました。提示された政策は、女性議員が妊娠や出産で国会を欠席せざるを得ない場合、他の議員が国会での採決において代理投票を行えるようにする、というものです。
衆議院法制局の職員がつきっきりで指導を行い、ベトナムの3人は、政策の合理性や憲法との適合性、他の法律などとの整合性を検討する作業に加え、諸外国の制度を調査する作業も行いました。
その結果、他の議員による代理投票は憲法との関係から難しい、一方で、テレビ会議を通じて国会での議論に参加した上で、自宅や病院にいながらにして投票することを可能とする制度は憲法に抵触することはない、という結論を導き出しました。

研修に参加した国会事務局法律局のTruong Thi Dieu Thuy副局長は「憲法適合性について日本側と多くの議論ができた。ベトナムでの業務と関連があり、有益な研修だった」と話していました。

また、Ha Thu Trang職員は「衆議院法制局のみなさんは、依頼を受けた国会議員への報告に際して、ひとつひとつ丁寧に検討し、しっかりと準備を行っていました。こうした経験を私もすることができ、政策の立法化業務に自信がつきました」と満足そうに話していました。

この研修は、JICAがベトナムで2017年から実施する「国会事務局能力向上プロジェクト フェーズ2」の枠組みで実施されたものです。共産党一党体制下にあるベトナムにおいても、国会が立法や行政監視の役割をしっかりと果たせるよう、プロジェクトでは国会事務局に対する多方面での支援を実施しています。

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議員から依頼された政策の立法化について検討するベトナム研修員と衆議院法制局職員

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研修を終えて。3人の集合写真